近畿の中小、原料調達難 行政も支援検討
東日本大震災は近畿の中小企業にも影響を及ぼし始めた。特に深刻なのは原材料、資材、機材などの調達難。調達先の東日本のメーカーが被災したためで、仕入れ先を西日本や海外に切り替えるなど対応を急ぐ。今後、復旧・復興需要で原材料は品目によってはさらに品薄感が強まる可能性があり、行政も支援の検討を始めた。
自転車用のカゴなどプラスチック製品を製造するオージーケー技研(大阪府東大阪市)は関東にあるプラスチック樹脂の生産会社が被災し、操業を停止しているため、国内で原料調達ができない状態になった。生産再開までに3~4カ月かかる見込みのため、地震発生翌日の12日に中国から60トンの緊急輸入を決定。今週中には国内工場に納入できる予定だ。
ソース製造のオリバーソース(神戸市)も一部原料が取引先の工場被災や物流面の影響で、調達が不能になった。生産ができなくなった商品もあり、在庫を取り崩して出荷を続けている。
金属の表面処理をするツー・ナイン・ジャパン(京都市)は仕入れ先企業の群馬県にある工場が計画停電を受けて操業時間を減らしたため、製作する金型の材料を入手しにくくなった。東日本の計画停電が長引くと判断し、仕入れ先を島根県など西日本の工場に切り替える検討を始めた。
工具の調達にも影響が出ている。金属の切削加工を手掛ける野田金型(大阪府高石市)は震災後、いつもの商社に注文をしても入荷のメドが立たない工具が出てきた。同社が使用する工具は被災したり物流がマヒするなどした東北や北関東のメーカー工場で生産されるものが多い。
堀口展男社長は「今の状況が続くようだと工具の種類や調達ルートの変更を検討しなければならない」と考えている。
中小の調達難には行政も注目している。堺市が堺商工会議所と協力し商議所会員の中小企業に緊急調査をしたところ、これまでに回答を寄せた150社の約3分の1が「震災の影響が出ている」と回答。
「特に原料や中間部品の調達に支障が出ているという企業が多い」(市産業振興局)といい、支援策の検討を始めた。
2011年03月24日 日本経済新聞
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