TPP「越境サービス」で士業団体が懸念
日本税理士会連合会は、「環太平洋パートナーシップ協定(TPP)」交渉参加について、「TPP交渉参加に関する意見」を内閣官房TPP政府対策本部に提出し、その内容を公表した。
その中で日税連は、「TPPの方向性については、日本経済の発展に資するものであるなら異論はない」とし、一方で、交渉対象となるとされている「越境サービス」分野について、「税務業務がTPPの検討対象となる場合には、税理士制度の存在意義そのものを損ねる可能性がある」として、税務業務についてはTPPの対象外とするよう求めた。
具体的には、日本国内で税理士業務を行うことができる税理士・税理士法人が税理士法に基づいて保護されている一方で、弁護士、公認会計士(ともに有資格者を含む)も、税理士となる資格を有するとされていることから、仮にTPP交渉により、弁護士または公認会計士資格が他国と相互承認された場合、他国の弁護士・会計士が日本において弁護士・会計士登録を行うことにより、日本国内で税理士登録を認められる可能性があるため、日本国内における税務の専門的資質を持たない税理士が増加することが懸念されるとしている。
日税連の資料によると、今年3月の自民党外交・経済連携本部TPP対策委員会によるとりまとめでは、「事務所開設規制、資格相互承認等については、公認会計士、税理士をはじめとした資格制度について、わが国の特性を踏まえる」と決議されているという。
また、日本弁護士連合会も、越境サービス分野におけるTPP交渉参加に対する意見を公表した。
その中で日弁連は、
「弁護士の独立を中核とし、弁護士自治に基づく現行の弁護士制度については、交渉の対象にはならないものと認識している」としたうえで、越境サービス分野については、ネガティブ・リスト方式(リストに掲載したものは適用対象としない方式)を採用し、リストに「弁護士・弁護士法人及び外国法事務弁護士は、弁護士会及び日本弁護士連合会に登録のうえ、所定の名称を付した業務上の拠点の所在地と名称を所属弁護士会及び日弁連に届け出なければならない」こと、また、日本国内における外国法事務弁護士による法的サービスの質を維持し、依頼者を保護するため、現状の外弁法で課せられている「外国法事務弁護士として日弁連に登録のうえ、1年間に180日間日本国内に在留する義務」を維持することを明記すべきであるとしている。
2011年11月12日に発表された、TPP参加9か国(オーストラリア、ブルネイ、チリ、マレーシア、ニュージーランド、ペルー、シンガポール、ベトナム、アメリカ合衆国)首脳への報告の中では、「貿易・投資を拡大し,雇用,経済成長及び発展を支援する:TPPの輪郭」として、越境サービスについては、「TPP参加国は、越境サービスの条文案について核となる要素のほとんどについて合意した。この合意は、公共の利益のために政府が規制する権利を維持しつつ、電子的に提供されるサービスや中小企業によるサービスを含む、サービス貿易について公正で開放的な透明性のある市場を確保するための基礎となる」と記されている。
参考リンク
日本税理士連合会 TPP交渉参加に対する意見
http://www.nichizeiren.or.jp/guidance/pdf/tppiken130624.pdf
日本弁護士連合会 TPP交渉参加に対する意見
http://www.nichibenren.or.jp/library/ja/opinion/report/data/2013/opinion_130717.pdf
2013年07月28日
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