冤罪の元死刑囚に年金支給へ
判決確定後、再審で無罪の言い渡しを受けた元死刑確定者(元死刑囚)に対し、国民年金の給付を行う、「国民年金の保険料の納付の特例等に関する法律案」が、平成25年6月19日の参議院本会議で、賛成208、反対0の全会一致で可決、成立した。
同法案は、民主党政権時代から検討が進められていたもので、いずれも死刑確定後に再審で無罪判決を受けた免田栄さん、赤堀政夫さんが給付対象者となるとみられている。
法案では、死刑確定者について、仮釈放もなく社会復帰への希望を持つことが著しく困難であるため、国民年金の保険料の納付等の手続をとらなかったことがやむを得ない事情であると認められるとしており、再審(裁判のやり直し)において無罪が確定した元死刑囚のうち、国民年金法の規定による老齢基礎年金等の支給開始年齢に達した日の属する月の翌月以後に死刑再審無罪者となった者に対し、当該者の請求があった場合に、「六十歳に達した日に対象期間のうち被保険者期間であるものに係る保険料が納付されたものとみなして計算された老齢基礎年金等が支給開始年齢に達した日の属する月の翌月から無罪判決確定日の属する月まで支給されたとした場合における当該老齢基礎年金等の額に相当する額として政令で定めるところにより計算した額の特別給付金を支給する」と定めている。
ただし、給付を受けるには、死刑判決確定日から無罪判決確定日の前日までの期間を「対象期間」として、国民年金保険料の納付が必要となる。無罪判決が確定した元死刑囚については、無罪判決確定後、勾留されていた期間の財産上の損失、精神的苦痛に対して、一日あたり1,000円以上125,000円以下の範囲内で補償を行う刑事補償金が支払われているため、保険料の納付については可能であると判断されたとみられている。
これに対し、日本弁護士連合会は、6月19日に発表した「死刑再審無罪者に対する国民年金保険料納付特例法に関する会長声明」において、「えん罪被害者が無年金状態となる原因は、えん罪被害者が国のえん罪という過ちによって確定死刑囚とされ、将来的に社会復帰を想定し年金生活を視野に入れた対応をとることを期待することが困難な状況が作出されたところにあり、国民年金保険料の納付あるいは保険料免除の申請を行わなかったことの不利益を、えん罪被害者本人に帰責させることは許されない」として、遺憾であると表明している。その他の点については、「えん罪被害者の救済の見地から評価することができる」としている。
なお、今回の法案は、再審で無罪判決を受けた元被告人のうち、死刑の判決を受けた者に限って対象者としており、無期懲役判決、有期懲役判決を受けたのちに再審で無罪判決を受けた者は対象外となっている。
参考リンク
死刑再審無罪者に対し国民年金の給付等を行うための国民年金の保険料の納付の特例等に関する法律案
http://www.sangiin.go.jp/japanese/joho1/kousei/gian/183/meisai/m18305183034.htm
2013年07月01日
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