医療のフリーアクセス、規制するべき?
○はじめに
厚生労働省は、2013年5月16日、62回目となる「社会保障審議会医療保険部会」を開催した。
同会では、社会保障制度改革推進法(平成24年法律第64号)に基づき、社会保障制度改革に向けた審議を行っている「社会保障制度改革国民会議」における、医療、介護分野においてこれまでに挙げられた論点のうち、同部会と関連の深い部分についての確認が行われた。
○医療のフリーアクセスの問題点
「社会保障制度改革国民会議」では、これまでに、国内で医療を受診する際に認められている「フリーアクセス」についての問題が提起されており、同部会でも議論がなされた。「フリーアクセス」は、患者が自由に、受診する医療機関を自分の希望で選べるというシステムで、世界的に見ても非常に珍しいシステムであるという。
例えば、イギリスで採用されている「国民保健サービス」では、被保険者はまず居住地の近くのかかりつけ医で診療を受け、かかりつけ医が「専門医での診療が必要である」と判断した場合のみ、専門医を適宜紹介するシステムとなっており、かかりつけ医の紹介がないのに専門医で診療を受けた場合、国民保健が適用されず、医療費は被保険者が全額負担しなければならない。
一方、日本で採用されているフリーアクセスでは、被保険者は希望に応じて大学病院や専門病院で診療を受けることができ、医療費の自己負担率も、小規模な診療所で受診した場合と同率であるとされている。
フリーアクセスについては、「日本では、大病院志向を持つ患者が多く、比較的症状の軽い患者が大学病院や専門病院で受診するため、本来そられの病院で受診する必要がある重度の患者が優先的に診療を受けることができない」という問題が以前から指摘されていた。現在の医療法上は、200床以上の病院における初診と一定期間後に再度診療を受ける場合は、被保険者が特別料金を負担する「選定療養」が実施されている。また、平成24年度診療報酬改定により、一部の医療機関については、他の医療機関からの紹介により診療を受ける患者の割合が低い場合、診療報酬が引き下げられるといった措置も取られている。
平成24年度診療報酬改定
http://www.mhlw.go.jp/bunya/iryouhoken/iryouhoken15/dl/2-1.pdf
「社会保障制度改革国民会議」においては、これまでに、「初診時の選定医療費(特定医療費)に代えて、一定額(一万円など)の定額自己負担を導入すべき」、「それと同様の仕組みを再診時にも検討するべき」、「救急車の適正利用についても検討する必要がある」といった意見が委員から上がっているが、「社会保障審議会医療保険部会」においてはその点について、委員から、「定額自己負担といっても、低額所得者は免除する必要がある」との発言があった。
また、一人の医者が総合的に患者を診ることや、患者に対して一貫した病歴、受診行動の管理を行い、専門医、病院、介護関係者との連携や継続的な保健指導、疾病予防活動を行う「日本型総合医」の在り方についても、検討するべきであるとの意見があった。
○参考リンク
社会保障審議会医療保険部会
http://www.mhlw.go.jp/stf/shingi/2r98520000008f07.html#shingi15
社会保障制度改革国民会議
http://www.kantei.go.jp/jp/singi/kokuminkaigi/
2013年05月28日
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