下請ガイドライン、アニメ制作業を追加
○はじめに
経済産業省は、親事業者と下請事業者の間における望ましい取引関係の構築を図る目的で策定している「下請適正取引等の推進のためのガイドライン」について、新たに「アニメーション制作業」に関するガイドラインを、4月26日に発表した。
http://www.chusho.meti.go.jp/keiei/torihiki/2013/0426sitauke.htm
同ガイドラインでは、下請代金支払遅延等防止法(下請代金法)や独占禁止法において、問題とされる親事業者の行為等について解説している。
アニメーション制作業においては、日本のアニメーション作品が国外からも高く評価されている一方で、その制作過程において、元請制作会社から一次下請制作会社、一次下請制作会社から二次下請制作会社への制作委託が行われるなどしており、下請取引の適正化の必要性が求められていた。
○下請代金法に則した取引を
ガイドライン策定に先立って、同省がアニメーション制作事業者(333社)、アニメーター個人(企業に雇用されていない742人)に対してアンケートを行ったところ、「発注時に発注内容や代金の額が確定していない取引がある」、「発注時に発注書の交付がなされていないケースがある」、「発注内容の変更に伴って必要コストが増加しても、コスト増分の代金増額は認めてもらえないケースがある」、「受注者の責任によらないスケジュールの変更によって、受注者に様々な負担が生じているケースがある」といった、取引上の問題点が明らかとなった。
そのため、ガイドラインでは、「書面交付の義務」が盛り込まれた。「親事業者は、発注に際して具体的必要事項をすべて記載した発注書面を下請事業者に対して交付しなければならない」とし、「発注内容を変更する際も同様」であるとされた。
また、アニメーション作品の完成後、作品を見たスポンサーなどから修正指示が出た場合などに親事業者が下請事業者に対してやり直しを要請する際は、親事業者が成果物を一旦受領したにも拘わらず、下請事業者に責任がないのに、その後無償でやり直しをさせ、下請事業者の利益を不当に害する場合は、「不当なやり直しに該当する」とされた。
下請代金法では、親事業者による「受領拒否」、「下請代金の支払い遅延」、「下請代金の減額」、「不当返品」、「買いたたき」、「購入強制、役務の利用強制」、「報復行為」、「有償支給原材料等の対価の早期決済」、「割引困難手形の交付」、「経済上の利益の提供要請」、「不当な給付内容の変更・やり直し」の11項目を禁止している。
○知的財産権の有無も対象に
また、ガイドラインでは、発注段階で問題となるおそれがある取引について、知的財産権が親事業者、下請事業者のどちらに発生するのか発注時に不明である場合については、「下請事業者が帰属する知的財産権を「給付の内容」に含んで親事業者に譲渡する場合は、書面に記載する必要がある」と指摘している。
○代金の「中間払い」望ましい
さらに、アニメーションの制作過程において、さまざまな調整のために発注から納品までの期間が長期化する際において、親事業者は、下請事業者から要請等があった場合、完成した作品が納品される前であっても、中間金として下請代金の一部を支払う「中間払い」を行うことが望ましいとされた。
2013年04月30日
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