民法改正における個人保証規制
○はじめに
日本弁護士連合会は、4月23日、法制審議会民法(債権関係)部会において、2009年から検討が行われている民法(債権関係)の改正に関するシンポジウムを開催した。
今回、民法(債権関係)の改正に関する主な論点は、「保障制度の見直し(個人保証の規制)」、「債権譲渡の譲渡禁止特約の見直し」の二点となっており、審議の行方に注目が集まっている。
○第三者保証の問題点
日本弁護士連合会消費者問題対策委員会多重債務部会は、同連合会の消費者問題対策委員等に対し、保証人や主債務者に関する「保障被害アンケート」を、2012年に実施した。
その結果から、同連合会は、「保障が破産や個人再生の原因となっている」と指摘する。主債務者が破綻してしまった場合、保証人が多額の保証債務を負わされるという事例が多数あり、アンケートでも、実際に請求された金額が数百万円から数千万円に及ぶケースが大半を占めていたという。なかには、数億円を超える被害もあった。同連合会消費者問題対策委員会が3年ごとに実施している「破産事件及び個人再生事件記録調査」によると、保証債務や第三者の負債の肩代わりをしたことが原因とされる破産等の手続きを申し立てた人の割合は、破産債務者の約25%、個人再生申立債務者の約15%にのぼるという。
保証人の主債務者との関係性については、そのほとんどが親子、親戚、友人などであるが、なかには「元夫」、「元配偶者の夫」、「住宅購入の際に世話になった不動産屋」など、一般的に関係性が薄いと判断されるような間柄でも保証人になっている場合も少なくなく、なかには「知人に紹介されたばかりの人で、会った当日の保証」というケースもあった。
また、アンケートでは、主債務者が「保証人に迷惑をかけたくない」と自殺や自殺未遂に至ったケースが10件、ストレスや心労からくる健康被害をおよぼしたケースが19件報告されている。中小企業庁の「2003年中小企業白書」に引用されている「2002年事業再挑戦に関する実態調査」によると、経営者が倒産するにあたって最も心配したこととして、「従業員の失業(23.8%)」に次いで、「保証人への影響」が21.3%で、「家族への影響」の19.5%を上回る割合となっている。
同連合会ではさらに、アンケートの結果から、「保証が再チャレンジの阻害要因となっていること」、「保証人の収入資産に見合わない過大な保証が横行していること」、「契約締結時の説明に問題があること」などの問題点を指摘した。特に、契約締結時の説明については、「署名押印が冒用、偽造された」、「高齢の母親が事情も分からず署名した」、「債権者からの説明が無かった」、「連日電話で脅迫され、保証を迫られた」などといった、問題があるケースも報告された。
同連合会では、「保障制度の見直し」について、2012年1月、「保障制度の抜本的改正を求める意見書」を採択し、個人保証の禁止、新たな保証人保護規定の設置、人的保証に頼らない融資慣行の確立などを求めている。
http://www.nichibenren.or.jp/activity/document/opinion/year/2012/120120.html
2013年04月30日
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