マイナンバー法案成立の行方は
○はじめに
日本弁護士連合会は、4月23日、今国会で審議中の共通番号法案(マイナンバー法案)に関する院内集会を、衆議院第二議員会館で開催した。
同連合会は、基本的に法案には反対の立場を取っており、内容もそれに則したものとなった。
2011年7月29日付けで発表した「社会保障・税番号大綱に関する意見書」の中で同連合会は、「税番号は具体的な利用目的が定まっていない」など、反対の理由を挙げている。
http://www.nichibenren.or.jp/activity/document/opinion/year/2011/110729_5.html
一方、日本税理士会連合会は、「間接的に申告水準の向上をもたらし、課税漏れのない適正な申告などの実現に寄与するものと考えられる」として、おおむね賛成の立場である。
http://www.nichizeiren.or.jp/guidance/pdf/mynumberyoubou121112.pdf
○「災害支援」にマイナンバーは有効か
政府は、マイナンバー制を導入する際のメリットについて、災害支援、災害医療の分野で特に有効であるとの見解を示しているが、同連合会情報問題対策委員会副会長で仙台弁護士会所属の野呂圭氏は、東日本大震災で被災者の支援活動を行った立場から、「マイナンバーがあればそれを集約して災害時の要援護者リストを作ることができる」という政府見解に対しては、「マイナンバーがあるからといって被災者の安否や居場所が分かるわけではない。要援護者リストは、災害対策基本法に基づき、災害弱者の要援護リストを自治体が準備しておくことは可能である。
災害時に急務とされるのは、取り残された人をどうやって助けるかであり、自治体がリストを整備しておけば、現地の福祉団体、ボランティア団体にリストを提供することができる」と述べた。なお、リストを福祉団体、ボランティア団体など第三者に提供することについては、「人の生命、身体又は財産の保護のために必要がある場合」にあたるとして、個人情報保護法では例外的に認められることとなっているという。
また、救援物資や医薬品を避難所に届ける際に、マイナンバーで得られる情報が有効かどうかについては、「救援物資や医薬品が、それらを必要としている避難所に届かないことの原因としては、被災地の道路の悪化など、輸送や備蓄に関するものであり、マイナンバーがあるからといって解決できるものではない」と指摘した。
被災した市町村から転出した被災者に対して、マイナンバーを利用して転出後も継続的に支援を行うことができるかという点については、総務省が提供している「全国避難者情報システム」を利用することにより、被災者は非難前に居住していた県、市町村から見舞金等各種給付の連絡や国民健康保険証の再発行、税・保険料の減免・猶予・期限延長等を受けることができるため、マイナンバーがなくても継続的支援は可能であるとの見解を示した。
なお、転出の届け出についてはあくまで自己申告のため、マイナンバーを利用したとしても、転出の申告を行っていない人は支援から漏れてしまうことも指摘された。
2013年04月24日
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