消費税転嫁拒否、相談窓口設置も
○はじめに
「消費税の円滑かつ適正な転嫁の確保のための消費税の転嫁を阻害する行為の是正等に関する特別措置法案」が3月22日、閣議決定された。
同法案は、2014年4月から消費税の税率が8%となることから、大規模小売業などの「特定事業者」が、その立場を利用し、特定事業者に商品などを供給する「特定供給事業者」に対して仕入れ価格の減額や買いたたきをする行為を是正することなどを目的として策定された。
○報道では「消費税還元セール禁止法案」に
閣議決定のニュースは、新聞、テレビなどのメディアで一斉に報道されたが、各社とも、同法案を一般視聴者が分かりやすく、かつ身近なものとして捉えることを目的とする姿勢をとったためか、同法案の名称を「消費税還元セール禁止法案」と表記した媒体が目立った。消費税還元セールの禁止は、「消費税値上げ分の還元や値引き、それらを連想される表示については、経済産業省(中小企業庁)及び各業界の所管省庁は、消費税の円滑かつ適正な転嫁に悪影響が及ばないよう適切な対応を要請する」という同法案の具体的方針について取り上げたものとなっている。
これについて、3月22日に行われた森内閣府特命担当大臣の記者会見では、記者から、「何らかのセール、分かりやすいセールがあったほうが消費者にとってはいいのではないか。事業者を抑制することでセールがしにくくなり、結果的に消費者の不利益になりかねないのではないか」との指摘があった。
指摘に対して森大臣は、「事業者の自助努力による価格設定までも禁止するものではない。事業者の中で力の弱い中小の事業者のところにしわ寄せが来ないことで、消費税の機能が適正に果たされる」とする旨の回答を行った。
○「買いたたき」受けた業者のための相談窓口設置
同法案では、特定事業者による仕入れ価格の減額や買いたたきを防ぐため、商品などを供給する特定供給事業者のための相談窓口の設置についても盛り込まれている。
相談窓口は、電話、メールによる相談に対応する政府共通の窓口で、財務省(国税庁)消費者庁と連携し、必要な体制を整備するとしている。
同法案における「特定事業者」は、大規模小売事業者、特定供給業者から継続して商品又は役務の供給を受ける法人事業者を指し、「特定供給事業者」は、大規模小売事業者に継続して商品又は役務を供給する事業者、資本金等の額が3億円以下である事業者、個人事業者を指す。
特定事業者の遵守行為(行ってはならない行為)としては、「減額、買いたたき」、「購入強制・役務の利用強制、不当な利益提供の強制」、「税抜き価格での交渉の拒否」、「報復行為」が挙げられている。
内閣府では、すみやかにガイドラインを作成し、事業者、消費者双方に説明するとしている。
参考リンク
・法案概要
www.caa.go.jp/soshiki/houan/pdf/130322_1.pdf
2013年04月01日
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