改正貸金業法の成果と課題とは
○はじめに
日本弁護士連合会は、2013年2月21日、
「改正貸金業法の成果と課題を検討する」と題した院内集会を、
衆議院第二議員会館で開催した。
貸金業法が改正され、貸金業の上限金利が最高で年20%まで引き下げられた
ことや、総量規制の導入などにより、多重債務の問題を抱えている人々に対する
救済が進んでいる中、政府が実施している「多重債務問題改善プログラム」
でも大きな成果が上がっているという。
だが一方で、ヤミ金業者による「偽装質屋」など、新たな問題もクローズアップ
されてきている。
○多重債務改善プログラムの成果
国内における消費者金融の利用者1400万人のうち、200万人を超える人が
「多重債務」の状態であるという。
「多重債務」を原因とした自殺者の数は、警視庁の統計によると、2007年で
1973人。2011年には998人となっており、大幅に減少している。
2006年に自殺対策基本法が制定され、官民の連携強化などを柱とした
旧自殺総合対策大綱や、政府による多重債務改善プログラムがスタート
したのが翌2007年。
2010年には改正貸金業法が完全施行され、それらの成果がデータとして
示されたと言える。
だが一方で、生活保護の支給額引き下げなど、政府が生活困窮者にとっては
より厳しい方針を示しているのも事実であり、「借り手」に対するケアや対策が
じゅうぶんに行われていないという点も問題であるという。
また、今年3月末に中小企業金融円滑化法が期限切れになることから、
事業者にとっても、今後はより一層資金繰りが厳しくなることが予想され、
新たな問題に発展する可能性が大きい。ヤミ金撲滅など「貸し手」を規制
することも重要であるが、
消費者や事業者に対する「セーフティネット貸付」制度の確立など、
さまざまな対策が急がれる。
○偽装質屋問題とは
近年、九州地方を中心に、「偽装質屋」と呼ばれる業者の存在が問題と
なっているという。
偽装質屋とは、借り手に対して、本来はほとんど価値がない時計や貴金属
などを担保に金を貸し付けるという業者で、
質屋としての営業許可を保有しているものの、実質、貸金業者と同様の業務
が行われているという。
電柱や壁面などに「融資します」などと書かれた広告を無許可で設置して
いるが、「質屋である」とはうたっておらず、借り手は、店舗を訪問して初めて
質屋であることを知るといったような状況であるという。
借り手が金を返済できなくても「質流れ」を認めず、
質屋に対して認められている上限年利109.5%の特例高金利で
金を貸し付けるなど、”法律の穴”に目を付けた商法で、
実際の経営母体もヤミ金業者である場合が多いという。
熊本県では、同県の住民12人が
「質店を装った業者に違法な高金利で金を貸し付けられた」として、
4業者に対して計720万円の損害賠償を請求。
また、大分県、福岡県、熊本県などに住む3700人に合わせて19億円を
貸し付けた業者の社長らが逮捕されるなど、問題の発端となった九州地方では
対策が進んでいるが、埼玉県や東京都でも、同様の業者が「質店」としての
営業を始める動きも確認されているという。
同連合会では、今後も、司法書士など弁護士以外の士業ともネットワークを
構築して連携を深め、多重債務の問題に全力で取り組むことが発表された。
参考リンク
http://www.kantei.go.jp/jp/singi/saimu/index.html
2013年02月26日
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