計画停電 関東各地の病院、混乱広がる 自家発用燃料が不足
東日本巨大地震の影響による電力供給不足で、東京電力が14日から実施している計画停電(輪番停電)をめぐり、病院などに混乱が広がっている。突然の停電の対応に追われたほか、自家発電機用の燃料補充のめども立たない。寒さのぶり返しで電力需要が急増。大規模停電の恐れも出るなか、各自治体は医療機関に優先的に燃料を販売するよう業界団体に要請している。
千葉県柏市のおおたかの森病院では15日昼過ぎ、東電から「停電前には連絡をする」と言われた直後、予告なしに起こった停電に動揺が広がった。医師や看護師らが大慌てで人工呼吸器などをつける患者のもとに駆けつけ事なきを得たが、松倉聡病院長は「万が一自家発電が動かなければ患者が死んでいたかもしれない。停電の時間はしっかり守ってほしい」と憤る。
千葉県によると、17日夕時点で県内の医療機関で「計画停電で人命にかかわる被害は出ていない」(県医療整備課)という。ただ外来の診療の制限や患者の移送など様々な問題が出始めた。
横浜市によると、計画停電の対象地域内にある二次救急拠点病院は全18病院のうち7カ所。停電時は自家発電機に切り替えるものの、病院全体の電気使用量をまかなえない。緊急度の低い手術は延期するほか外来の受け付けを制限している。
群馬大学重粒子線医学研究センター(前橋市)も、電力不足に頭を悩ませる。
がんを切らずに治せる先進医療の施設として1年前に開設したばかりで、治療には大量の電力を使う。3月末までは設備工事で休診しているが、4月以降も再開のめどが立たない。「既に予約も入っているが、対応できるかどうかわからない」(同大学)という。
小規模な医療機関ではさらに対応が難しい。予備電力が30分しかない梅田診療所(東京・足立)は常時、たんなどの吸引が必要な入院患者2人を都内の大病院に転院させた。「計画停電が終わるまで重症の患者は受け入れられない。医療機関には何とか電力を送ってもらいたい」と訴える。
自家発電の燃料確保も課題だ。東京都は地震発生後、都内の全病院を対象に発電装置の有無と最大稼働時間に関する緊急調査を行った。回答した535病院のうち、24時間以上稼働できる機器や燃料を備えている病院は15%にとどまったという。
栃木県は県内のほぼ全医療機関に「自家発電用の燃料の残量が3日分を下回りそうな場合などは相談してほしい」と連絡した。緊急性の高い相談には、災害対策本部が県石油商業組合(宇都宮市)に燃料提供を要請、組合が業者を探して医療機関に重油などを届ける仕組み。16日夕までに45件の相談があったが「災害対策本部などを通じ約半分は何らかの形で燃料が届けられた」という。
2011年03月18日 日本経済新聞
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