世界初、がん幹細胞の細胞株樹立に成功
中外製薬株式会社は、がんの再発・転移に関係すると考えられる
大腸がん幹細胞の性質を有する細胞を培養可能な細胞株として
樹立することに、世界で初めて成功した。
この細胞株は抗がん剤投与下では増殖性のない薬剤耐性細胞に変化し、
抗がん剤投与を中止すると再び増殖する性質を有していること、
さらにはこのがん幹細胞に発現するたんぱく質に結合する抗体を
がん幹細胞を移植した転移モデルマウスに投与した場合、
転移が抑制されることを見出したという。
一連の研究成果は、米国の科学雑誌「STEM CELLS」
2012年10月18日の電子版(http://onlinelibrary.wiley.com/doi/10.1002/stem.1257/abstract)に掲載された。
がん治療では、化学療法や手術などでがんを縮小・切除したにも
かかわらず再発・転移が起こることが問題となっており、
この原因の一つとしてがん幹細胞の存在が想定されているが、
がん幹細胞はがん組織に微量に存在すると考えられ、抗がん剤や
手術などのがん治療から自らの姿を変えることで巧妙に治療から逃れ、
患者の身体状態などの環境の変化により再び増殖を開始し、
転移を起こすと考えられているという。
したがって、がんを根本的に治療するには、がん幹細胞を
特異的に攻撃する治療薬の開発が求められており、同社では、
今回の研究成果を発展させ、がん幹細胞を標的とした今までにない
新しいコンセプトの治療薬の開発に取り組んでゆくとしている。
参考リンク
http://www.chugai-pharm.co.jp/
2012年10月19日
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