経常黒字3年ぶり拡大 10年17兆円、輸出がけん引
財務省が8日発表した2010年の国際収支速報によると、モノやサービス、配当、利子など海外との総合的な取引状況を示す経常収支は17兆801億円の黒字で、黒字額は前年に比べ28.5%拡大した。経常黒字の拡大は3年ぶり。中国などアジア向けの輸出の増加で、貿易黒字が2倍近くに膨らんだことが主因だ。ただ、債券の利子収入や直接投資収益などの所得収支は減少し、経常黒字の水準はピーク時の07年と比べると7割程度にとどまった。
輸出額から輸入額を差し引いた貿易収支の黒字額は前年比98%増の7兆9969億円。10年の為替相場は平均で1ドル=87円75銭と前年に比べ6円近く円高・ドル安で推移したものの、中国などの需要拡大で自動車や鉄鋼などの輸出が大幅に増えた。輸出額は63兆9203億円で前年比25.7%拡大した。
輸入額は19.4%増の55兆9234億円。中東などからの原油や液化天然ガスの輸入が増えた。足元は「世界的に食料価格が上昇している」(財務省)ため、今後輸入額を押し上げる可能性もある。
旅行や運送などのサービス収支は1兆4768億円の赤字で、赤字幅はデータが比較可能な1985年以降最小となった。海外の合弁企業からのロイヤルティー収入や建設事業の受注が拡大したことが要因だ。
一方で所得収支は11兆6414億円の黒字で、前年に比べ5.5%減少した。世界的な低金利で債券の利子収入が目減りした。海外子会社の内部留保は業績が悪化した09年3月期決算の影響が統計に表れた10年前半に大幅に減った。ただ、10年3月期決算が統計に反映された10年秋以降は内部留保は増加に転じ、足元の所得収支の黒字は拡大している。
同日発表した10年12月の国際収支は、自動車を中心とした輸出の増加で貿易黒字が拡大し、経常黒字は前年同月比30.5%増の1兆1953億円だった。
2011年02月08日 日本経済新聞
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