計画停電、鉄道会社どう運行計画決める?
東京電力は数時間単位で地域ごとに電力供給を止める計画停電に踏み切った。
東電が確保できる電力は3100万キロ・ワット前後だが、平日の電力需要は4100万キロ・ワットで、鉄道各社は一部区間での運休や運行本数の削減で対応している。
Q 計画停電を実施すると、鉄道の運行にはどういう影響が出るのか。
A 鉄道会社によって差がある。主に都心部で運行しているのか、郊外まで運行しているかで影響の度合いも違う。鉄道各社は、東電から供給された電力を自社の変電所に集めて電車を動かしている。このため、停電するエリアに変電所があると運行は難しい。
Q 都内を走る東京メトロでも本数が減っている。
A 電力に問題はないが、乗務員の出勤に支障が出るなど、人員が確保できず、15日の運行本数は通常の5~9割程度になった。
Q JR東日本は自家発電所を持っている。
A 自前で火力と水力の発電所を持っているが、消費電力がピークとなる朝夕のラッシュ時には電力が足りないので、東電から供給された電力を使う。このため、乗客数が多い都心部の路線を優先して電力を回し、郊外では運休する区間が出ている。一部の踏切の作動には東電からの電力を使っている。停電になると閉め切ったままになるため、運休せざるをえない場合もある。
Q 新幹線はどうか。
A 東海道新幹線は平常通り運行されている。東電から電力の供給を受けているが、計画停電の対象とは異なる電圧の電力を使っているので影響を受けない。静岡県の富士川以西では中部電力、関西電力から電力供給を受けている。
Q 運行計画はどう決めているのか。
A 当初は、東電から計画停電の内容が発表されたのを受け、鉄道各社は大あわてで翌日の運行計画を決めていた。停電エリアを考慮し、運休区間や時間帯を判断し、運行本数も減らした。運行区間を決める際には、折り返し運転ができるかどうかも判断材料とした。
Q 運行区間を延長する動きもある。
A 特に初日の14日は大勢の利用者が不便を被り、大きな混乱が発生した。このため、鉄道会社が東電に要請し、必要な電力の供給を受けられる方向になっている。京王電鉄は、駅の照明の一部消灯や車内での空調の使用中止など節電を条件に、運行に必要な電力の供給を優先的に受ける。16日以降は京王線・井の頭線全線で平常ダイヤで終日運転する予定だ。
Q 運休や本数削減はいつまで続くのか。
A 計画停電初日の停電が1時間半にとどまったのは、鉄道会社や企業が節電に協力したことも大きい。
鉄道の運行本数や距離を延ばせば電力の需給は厳しくなる。鉄道各社が大幅な運休に踏み切った14日は、計画停電の地域、時間は限られたものにとどまった。しかし、鉄道の運行状況が改善した15日は、本格的な計画停電を迫られた。電力供給が限られている中で、当面は困難なバランスの維持が必要になりそうだ。
2011年03月15日 読売新聞
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