企業の生産活動ヘロヘロ… 計画停電、震災がダブルパンチに
東京電力が14日からの実施を表明した「計画停電」は、東日本大震災で打撃を受けた製造業に追い打ちをかけ、まさに“ダブルパンチ”の状態だ。部品供給の停滞などからすでに14、15日の全工場操業停止を決めていた自動車各社に加えて、電機や機械、精密機器などの各社の生産拠点も臨時休業や社員の自宅待機に追い込まれた。各社は「停電エリアがはっきりせず、今後のことが何も決まらない」(電機大手)と対応に苦慮。日本経済の屋台骨である生産活動は完全に機能不全に陥った。
「1日3時間も停電すると半導体を作ることはできない。他工場への生産シフトと外部発注を進めるしかなくなる」。電子部品大手のミツミ電機の担当者は肩を落とす。計画停電の影響が厚木事業所(神奈川県)の生産を直撃するからだ。同事業所には自己発電設備もなく致命的だ。
計画停電による打撃がもっとも大きいのがこうした半導体や精密機器の工場だ。半導体工場ではほこり一つない空間を確保して生産している。およそ0・1秒未満の瞬間的な停電・電圧低下ですら、その後の設備洗浄や製造途中の製品撤去、点検が必要となり、復旧までにかなりの時間がかかる。
キヤノンも宇都宮事業所(栃木県)、取手事業所(茨城県)、阿見事業所(同)の3事業所について14日の操業休止を決めた。明日以降の予定も決まっておらず、特に建屋に被害が出た宇都宮事業所は復旧の見通しが立たない。
関東近郊に多くの拠点を持つ東芝も大きな影響を受ける。14日はテレビを生産する深谷工場(埼玉県)、などを休業。制御機器などを生産する府中事業所(東京都府中市)、レーダー類を生産する小向工場(川崎市)も停電に合わせて午後からラインを止めた。
ソニーもすでに操業停止している東北地方の工場に加え、14日は久喜工場(埼玉県)で生産中止したほか、研究拠点のソニーテクノロジーセンター(神奈川県)なども午前中は自主的に停電する措置をとった。富士通も川崎工場(神奈川県)や沼津工場(静岡県)など関東の4工場について、計画停電の実施に合わせて午後以降の操業を停止することを決めた。
トヨタ自動車や日産自動車など自動車各社での混乱も大きい。各社はもともと14日については、全工場での操業停止を決め、被害状況の確認や部品供給にかかわる物流網の現状を見極めようとしていた。しかし計画停電の実施によって生産再開のめどがまったく立たなくなった。
自動車完成車工場は自家発電設備を持つが、水道やエレベーターなどのライフライン向け。「予定されていない停電が急に起き、管理できずに電力が止まると生産に支障が出てしまう」(ホンダ)という。
東電によるグループ分けリストのわかりにくさも「どの工場がどのグループに入っているか把握できない」(大手広報)と混乱に拍車をかけていて、「前日夜に停電計画が発表される『ぶっつけ本番』には到底対応できない」(別のメーカー担当者)と不満の声は高まるばかりだ。
2011年03月14日 産経ニュース
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