つなぎ法案成立有力 中小ぬぐえぬ増税懸念
3月末で期限切れとなる優遇税制(租税特別措置)を延長する「つなぎ法案」が成立の見通しとなったことで、中小企業の法人税軽減税率が4月から実質増税となる事態も当面、回避された。ただ、延長期間は3カ月。本来であれば、新年度から実施する予定だった追加減税の扱いは宙に浮いたままだ。税制改正法案がこのまま成立せずに6月末を迎え、増税となる懸念もぬぐえていない。
中小企業への軽減税率は、資本金1億円以下の企業が対象で、年間800万円までの所得に対する法人税率を本則では22%に設定している。平成21年4月に18%まで引き下げられ、今月末に2年間の暫定措置期限を迎える。
平成23年度の税制改正法案は、この18%をさらに15%へ押し下げる内容。3%分の減税効果は1社当たり最大で年24万円で、依然として経営環境が厳しい中小企業を支援する狙いだ。
つなぎ法案により現行税率の18%が据え置かれることになったが、6月までに税制改正法案が成立しなければ、翌月から税率は本則の22%に上昇する。現行の18%と比べれば32万円分、15%と比べれば56万円分の実質増税となる。
法人税を納めている黒字中小企業はただでさえ全体の約3割。大企業に遅れる傾向がある中小企業の回復は今年の夏ごろになる見込みのため、「6月に税制が混乱すれば、優良中小企業の賃上げや設備投資意欲を減退させ、金融支援などで抑制されている倒産件数も急増しかねない」(東京商工リサーチ)。
「つなぎ法案」による問題の先送りは、国内雇用の7割を支える中小企業経営の足下を揺るがしかねない危険をはらんでいる。
2011年03月10日 産経ニュース
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