日本最古、レトロな地下街がひっそり幕
現存する国内最古の地下街とされる東京メトロ銀座線神田駅(東京・千代田区)の「須田町ストア」が先月末、ひっそりと幕を閉じた。
靴店や理容店など最後まで営業していた4店がすべて引き払い、今後、駅事務所などに改装されるという。
JR神田駅との乗り換え口と反対側にある須田町ストアは、地下鉄神田駅が開業した翌年の1932年にオープン。戦後の物資不足の時期もにぎわいが続き、66年1月の名簿では食堂、帽子店、カメラ店、旅行会社、歯科医院など23店舗が営業していたことが分かる。
その後、店主の高齢化などで閉店が相次ぎ、88年には旧営団地下鉄と店主らとの家賃値上げ交渉が決裂。以来、店主らが20年以上にわたり従来の家賃を法務局に供託する事態が続いていたが、昨年8月、立ち退き料の支払いなどでようやく閉店に合意した。
天井は2メートル余りと低く、長年、改装も行われず時代に取り残された不思議な空間は、浅田次郎さんの小説「地下鉄(メトロ)に乗って」の主人公の勤務先としても登場する。
戦後すぐに父の仲間が始めた理容店を引き継いだ杉原菖之輔さん(71)は近くのビルに移転した。「移転は寂しいけど、経営者はみんな年を取っているので、立ち退き料が出てほっとした」と話す。他の経営者は立ち退きを機に引退したという。
2011年02月08日 読売新聞
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