NTT西や富士通、関西でクラウド事業拡充 中小向け定額など
NTT西日本や富士通など情報通信大手が関西でのクラウドコンピューティング事業を本格化する。NTT西は中小企業でも使いやすい定額サービスの導入などで5年後に1000億円の売上高を目指すほか、富士通も月内に大阪市内に営業施設を新設する。自前でのシステム構築が難しい中小企業や流通企業の比率が高い関西では、クラウドへの需要が大きいと各社は判断しており、拠点設置などで顧客開拓に本腰を入れる。
「今年は大企業だけではなく一般にも広くクラウドが広がる」。NTT西の大竹伸一社長は7日、クラウド事業の本格展開に向け意欲を語った。今年中にメールやスケジュール管理、営業日報などをパッケージとして月額500円程度で利用できる「ワンコインサービス」を提供すると発表。関西に多い中小企業でも利用しやすい価格に設定し一気に顧客増につなげたい考えだ。
病院などと組んで個人が診察・検診予約をしたり、健康管理や母子手帳などをスマートフォン(高機能携帯端末)やパソコンから利用できるようにするサービスの提供も開始するという。
自治体・法人向けにも提供メニューもそろえ、ワンコインと合わせて2015年度にはクラウドサービスを現在の10倍の1000億円規模の事業に育てる考えだ。
一方、大手システム各社は東京に次ぎ大阪にクラウド体験施設を設置することで導入を考える関西企業に売り込む考えだ。富士通は14日に同社関西拠点内に「富士通トラステッド・クラウド・スクエア関西」を開設する。同社の人気アプリケーションなど18種類のメニューや50台のサーバーをそろえ、担当者が実機を動かし丁寧に解説する。クラウドサービスの本格展開で「中堅・中小を掘り起こす」(田中伊久弘ビジネス推進統括部長)。グループで11年度中に約1500件の商談につなげる。
富士ソフトも昨年12月に米マイクロソフトの最新のクラウドサービスを体験できるクラウドセンターを関西支社内に開設。NECも同時期に関西拠点にある展示施設を改装した。
関西は売上高の季節変動が大きい中小企業や流通企業が多く、システムの負荷を平準化できるクラウドサービスへの需要が大きいとの見方がある。京阪神不動産が大阪市内にデータセンター用ビルを用意するなど、他業種の参入も相次いでいる。大手各社が本格的にクラウド事業に乗り出すことで関西での顧客獲得競争は今後いっそう激化しそうだ。
2011年03月08日 日本経済新聞
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