梅田新築ビルにオフィス移転相次ぐ 賃料下がり値ごろ感
新築ビルが相次ぎ開業した大阪市梅田地区にオフィスを移転する企業が増えている。リクルートが今夏に梅田駅前の梅田阪急ビルに入居する方針を固めたほか、江崎グリコは本社部門の一部を大阪富国生命ビルに移転した。九州新幹線の全線開通や商業施設の新増設で梅田地区の利便性が高まっていることに加え、新ビルの供給過剰で賃料が大幅に下がり、値ごろ感が強まっていることなどが背景とみられる。
リクルートは現在、西梅田のハービスENTと阪神梅田駅前の渡辺リクルートビルに関西支社の拠点を置いている。移転を機に両拠点を集約し、梅田阪急ビルの4フロアに社員1000人強が入居するとみられる。
同ビルは10年4月に完成し、約10万平方メートルあるオフィス部分にはTOTOや新日本監査法人などが入り、昨年12月には東芝も入居した。リクルートが入ることで、現在4割程度にとどまる入居率は「6~7割程度に高まりそう」(大手オフィスビル賃貸仲介)という。
人材紹介会社のクイックは北区中津の大阪本社を大阪富国生命ビルに移転する。社員約140人が移り22日から営業を始める。「業務の効率化が目的」(クイック)という。同ビルには2月中旬に西淀川区に本社を置く江崎グリコの営業戦略や広告部門の約200人も入居した。
新ビルのテナントがなかなか埋まらず、不振と思われていた梅田のオフィス人気が高まってきたことで、本町を中心とする他のオフィス街には逆風となりそうだ。
伊藤忠商事は8月に大阪本社をJR大阪駅北側のノースゲートビルディングに移転する。発祥の地である船場の繊維街から去ることになるが、「出張の多い商社にとって、業務効率が格段に上がる」(伊藤忠)という。プラスチック加工大手のタキロンも拠点集約を目的に、8月にも本社を同ビルに移し、250人が入居する計画だ。
近畿圏のオフィス市場は2008年のリーマン・ショック後、本社機能の東京移転や関西支店・営業所縮小で長く低迷していた。ここにきて足元では経費削減を目的に、交通の便が良くIT(情報技術)インフラの整った新ビルならば移転したいという需要が戻り始めているようだ。
13年春にはJR大阪駅北側のうめきたに大規模なオフィスビルが開業するなど、供給過剰は変わらない。今後も誘致合戦の激化は避けられず、梅田とその他のビジネス地区で、優勝劣敗が鮮明になる可能性もある。
2011年03月04日 日本経済新聞
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