企業スキャンダルはなぜなくならないのか
マネジャーは皆、倫理的に行動しろと従業員に言う。しかし、企業スキャンダルは後を絶たない。帳簿の改ざんではないにしても不当な価格設定や汚染された食品の販売などの話題がマスコミを賑わせる。
人はどこで倫理を学ぶのだろうか。家庭という説があるが、学部生と議論したときには、倫理について家庭で学ぶことは多くはないという結論が出た。そもそも会話が少ないのだ。たまに家族で夕食をとっても、親はテレビを見ていたりする。ある生徒は、「成績のことしかきかれなかった。成績がよければ、その結果をどうやって実現したかなんて両親は気にしていなかった」と答えた。
筆者が教鞭(きょうべん)をとっているエグゼクティブMBA(経営学修士)コースの生徒にも尋ねたが、倫理についてしっかりと考えたことはないと答える人が大半だった。彼らの勤務する会社は企業理念を掲げているが、大仰な字句が並んでいて日々の活動には意味を持たない。
さらに悪いことに、職場で目にする不正の大半は同僚ではなく上司の悪行だ。模範を示すべき立場の人が不正を働くのだ。不正はささいなものもあれば深刻な問題もある。
例えば次のようなケースだ。
・あるセールスマンの営業区域は農村地域で、食事が出来る場所はファストフードチェーンがほとんどだ。彼の勤務先では、25ドル未満の支出の申請であればレシートは不要とされている。ファストフード店で一度の食事に25ドルを使うことはまずないので、彼は食事の費用を10ドルと申請していた。だが、上司が20ドル以上で申請するようにと言ってきた。1人だけ安いと問題があるという。
・銀行の従業員が、移住して日の浅い移民にクレジットカードの契約を勧めろと言われた。移民は契約条件がわからないからだという。
・会計担当者が、得意客に対して余分に請求していることに気づいた。上司からはこのことを顧客には開示せず、今後の請求を修正するようにと指示された。
では、職場で倫理的決断を推進するには何ができるのだろうか。まずマネジャー自身が倫理的に振る舞うことだ。従業員とこの問題を議論するのも重要だ。想定事例を用意し、適切な対応を考える。倫理的行動は業績よりも重要なことだということをはっきりさせる。これが当てはまらない会社なら、スキャンダルの主役になっても驚くにはあたらない。
2011年11月21日 CNN
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