資産水増し11年間で延べ1兆円超 不正会計の手口判明
オリンパスが損失隠しのために行っていた不正な会計操作の詳細な手口が15日、同社の第三者委員会の調査などで分かった。財テクで発生した含み損を海外の投資ファンドに移す「飛ばし」を行う一方で、帳簿上はその分を欧州の銀行の預金やファンドへの出資金を水増しして計上し、つじつまを合わせていた。水増し資産の計上は平成12年3月期から22年3月期まで11年間にわたり、17年3月期に最大の1350億円を計上。11年間では延べ1兆1470億円に達した。途中で水増し資産を変更するなど隠蔽(いんぺい)工作も行っていた。
各年度の水増し資産の計上額と簿外に飛ばしていた含み損は、ほぼ同額だったとみられる。最初の12年3月期は独大手銀行の預金として約300億円を計上。13年3月期には仏大手銀も加えた預金のほか、政府短期証券やファンドへの出資金で計約1260億円に膨らんだ。
同期から企業に対して損の計上を義務付ける「時価会計制度」が導入されており、表面化を回避するため、大量の飛ばしを実行し、水増し資産が増えたとみられる。第三者委は大半が架空預金など実体のない資産とみている。
17年3月期に最大の1350億円まで拡大した後、21年3月期は610億円に減少し、23年3月期にはゼロになっており、英医療器具会社ジャイラス買収時の報酬や国内ベンチャー3社の買収資金の計約1400億円を還流させ、含み損処理を終えたとみられる。
途中で、政府短期証券として計上していた約350億円を租税回避地であるリヒテンシュタインの銀行の預金に変更。関係者は「水増しが発覚しそうになり、付け替えた」とみている。
オリンパスは、水増し資産を有価証券報告書で開示しており、虚偽記載の疑いがある。第三者委員会が出す報告書に基づき、過去の報告書を訂正。東京証券取引所が審査し、上場廃止の是非を判断する。
2011年11月16日 産経ニュース
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