主要ゼネコン4~9月期決算/8割が受注増/工事採算は悪化傾向
主要ゼネコン各社の11年4~9月期連結決算が11日までに出そろった。日刊建設工業新聞社が、11年3月期の連結売上高が1000億円以上だった24社を対象に集計したところ、受注高(単体ベース)が前年同期より増えたのは18社と全体の8割近くに上った。前年同期が公共事業の削減と民間設備投資の低迷で落ち込みが大きかったことの反動に加え、震災復旧関連工事の発注も受注増に寄与した。一方、労務費や資材費の上昇で工事採算は悪化傾向にある。
受注高は、土木で公共工事が2桁の伸びとなった企業が目立った。建築ではマンションなどの民間工事の増加が受注増の要因となった。東洋建設がケニアで約200億円規模の工事を受注するなど海外の大型案件で受注を伸ばした企業もある。震災復旧関連の受注高を公表した社もあり、鹿島が1350億円、大成建設が400億円程度、前田建設が200億円弱、フジタが90億円など。震災発生当初から応急復旧に当たった分や大型の災害廃棄物処理業務などを計上している。
通期の受注高も、19社が増加を予想している。宮城県発注の災害廃棄物処理業務(5件で合計3200億円)や東京電力福島第1原発事故の収束に向けた土木工事、中部電力浜岡、東電柏崎刈羽の各原発の津波対策など、震災・原発関連の大型工事が下期の受注案件に織り込まれることも増加要因の一つとなっているとみられる。鹿島やフジタなどは、受注高に占める震災関連工事や業務の割合が1割を超える見通しだ。
一方で、工事採算は低下傾向にあり、4~9月期は売り上げ計上した工事の採算を示す単体ベースの完成工事総利益率(粗利益率)を20社が悪化させた。粗利益率の低下には、前年同期に一部大型土木工事の利益改善が発生したことや、労務費や資材費が下がっていたことへの反動もある。通期の見通しでも、粗利益率が前期より低くなると予想している企業が半数以上を占めた。「東北地方の復興需要や建設労働者の減少で労務費は上昇傾向にあり、(利益圧迫の)懸念材料になっている」(阿久根操大成建設副社長)といった声が出ている。今後の見通しについては、震災の復興需要が本格化する一方、円高、電力の供給不安、欧米の景気悪化懸念による民間設備投資の減少などを不安要因とする見方が一般的だ。
2011年11月14日 日刊建築工業新聞
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