地道にサンプリング重ねて新しい味を!
明治乳業がプロセスチーズ「明治北海道十勝チーズ」を誕生させたのは1992年。以後、同社のメーンブランドに育ち、「明治北海道十勝カマンベールチーズ」(ナチュラルチーズ)は食品の世界的なコンクール「モンドセレクッション」で、2008、09、10年の3年連続最高金賞を受賞した。
同社は08年10月、濃厚な“うまみ”やほろほろとした“口どけ”を打ち出した新しいタイプのプロセスチーズ「明治北海道十勝スマートチーズ」を発売する。16年間培ったブランドを生かして新次元に挑んだものだが、従来のプロセスチーズに慣れた消費者に受け入れられるかどうか不安もあったという。
この決断について、広報室の平工(ひらく)琢也さんは、「チーズ3番手の会社が将来ナンバーワンになるための長期ビジョン」と説明する。チーズ市場は年間3%伸びており、今後も成長が期待できる。その市場に、味に特徴のある商品を出すことで他に先駆けようというのだ。そのため、発売当初は好き嫌いが分かれても仕方ないと全社で腹をくくったのだという。
「受け入れられてもらうためには時間がかかる、2-3年は見越していました」(同)
消費者は、慣れた味が変化することに抵抗感を覚えるものだ。そこで同社は、「明治北海道十勝スマートチーズ」というまったく新しい食感のチーズの味をきちんと伝えるために、サンプリング(店頭試食)を宣伝の中心に据え、年間200万件という同社史上最大規模のサンプリングを展開した。
サンプリングには説明を聞いてもらえるというメリットがあり、説明用のリーフレットも準備した。テレビCMで商品が変わったことを知ってもらい、売り場で消費者との接点を築く。「まず、手に取ってもらい、食べてもらう」(同)ことを地道に繰り返したのだ。
流れが変わったのは09年秋、売り場に、チーズの主要購買層である50-60代とは異なる30-40代の姿が見られるようになり、彼らから「ほろうま食感」という言葉が聞かれるようになったのだ。その結果、2010年の売り上げは前年比125%と急成長、単品銘柄としては20億円の大ヒットとなった。
しかし、ヒットは長期ビジョンのまだ始まり。平工さんたちは今年もサンプリングを繰り返し、地道に「手にとって食べてもらう」のだという。(村上信夫)
2011年03月02日 ZAKZAK
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