都内の中小企業、放射線対策事業を拡大 「遮る」建材など
福島第1原子力発電所の事故で放射性物質への関心が高まるなか、東京都内の中小企業が相次いで放射線対策の事業を拡大している。放射線を遮るという建材を開発するほか、除染効果が見込める塗料の輸入販売をしている。高まる需要に対応する。
粘着剤製造などを手掛ける光洋産業(東京・千代田)はリサイクル可能な鉛と石こうを組み合わせたボードを開発した。鉛は放射線を遮る効果があるといい、被災地などでの住宅用建材の需要を見込む。12月に発売し、5年以内に10億円の売り上げを目指す。
同社の密着加工技術を活用することで、従来製品よりも鉛を無駄なく剥がせて、リサイクルできるようになった。
放射線測定器を独自に開発する企業もある。防災用センサー開発の防災光技術ジャパン(東京・千代田)は光ファイバー式の測定器を開発し、発売した。センサー部分に金属を使わないため、水や土の中に直接入れて測定することができ、放射線量が局所的に高いホットスポットを探すのに役立つ。現在、より精度を高めた製品も開発している。
環境ベンチャーのCBMI(同・中央)は一般モニターが計測した全国の放射線量をパソコンの地図上に表示するシステムを開発した。事業者向けに月額5万円の利用料で本格的に販売を始める。同社のモニターが放射線測定器で調べた各地の線量と、自治体などが発表しているデータを入力する。累積の線量なども把握できる。モニターは現在50人。同社が取り扱う放射線測定器を安価で売るなどして、1300人に増やすことを目指す。
除染用の製品の輸入販売を始めるのは塗料製造販売のジャパンカーボライン(同・江東)。除染したい部分に塗って1~2日後に剥がすと放射性物質を除去できる塗料を11月にも発売する。スリーマイル島の事故時に原発周辺施設の除染用として米国で開発されたが、日本では販売されていなかった。
学校や病院といった公共施設の建物内など、水洗いでは除染が難しい場所での利用を見込む。同社は「福島県内の除染にも使ってもらいたい」(総務部)と期待する。現在、商品を無料提供して効果を確かめる実証実験を福島県に打診している。
2011年10月28日 日本経済新聞
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