「輸出は壊滅」の声も 中国5県の企業、円高への懸念強まる
外国為替市場で1ドル=75円台の歴史的な円高水準が続いていることに、中国地方の企業からは、輸出や海外事業に悪影響が出ることへの懸念が一層強まっている。
日本セラミックの谷口義晴会長兼社長は「新規の契約は為替レートを1ドル=70円台後半に設定しており、今のところ大きな影響はない。ただ、この状況が続くと来期(2012年12月期)の事業計画は想定レートを1ドル=75円台に見直すことになる」と先行きを懸念。「政府・日銀は為替相場に急な変動が起こらないようきちんと対応してほしい」と注文を付ける。
長府製作所は「既にエアコンなど欧州やオーストラリアへの輸出は壊滅状態にある。さらなる円高を食い止めるのはもちろん、円高状態を何とかしてほしい」と切望する。工作機械部品を欧州に輸出する北川鉄工所は円高による為替差損の発生に苦慮する。
滝沢鉄工所は「ドル建ての売掛金などはなく、円高による実損は出ていない」とした上で「海外販売は基本的に円建て取引。そのため販売先から見ると価格が高くなったという印象を与えかねず売りにくくなる」と心配する。
円高を踏まえ、海外生産比率を高める動きも加速している。和菓子のどらやきを中心に北米などに輸出している丸京製菓(鳥取県米子市、鷲見浩生社長)は12年をめどに中国で生産する計画を進める。
ただ、中国政府は東日本大震災以降、食品関連の輸入を停止。同社は「輸入停止は食品の原材料も対象に含まれ、長期化すれば海外戦略を見直さざるを得ない」(国際貿易部)と困惑する。
中国や東南アジアなどに生産拠点を構える中国塗料は「1ドル=80円を上回る円高は想定していなかった。円ベースで連結決算を作成する際にマイナスの影響が出る」としている。
2011年10月27日 日本経済新聞
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