グラクソCEO「社会貢献、生き残りに不可欠」
英製薬大手、グラクソ・スミスクラインのアンドリュー・ウィティ最高経営責任者(CEO)は25日、第13回日経フォーラム「世界経営者会議」(主催=日本経済新聞社、スイスのビジネススクールIMD、日本経済研究センター)で講演し、「短期的な利益だけでなく、責任ある企業市民として貢献することが大事だ」と述べた。
同社の社会貢献の具体例として、アフリカで患者が多いマラリアのワクチンや同治療薬開発につながるデータの提供、世界の非営利組織(NPO)への従業員出向を挙げ「顧客や株主、メディアなどステークホルダー(利害関係者)の声を理解できない企業は需要を失うことになる」と指摘した。
成長には市場シェアの確保だけでなく、新薬研究開発体制の強化も必要と指摘。「50社のバイオテクノロジー各社との提携により多様な研究ができ、開発の勢いを維持できている」と、他社との連携の重要性を強調した。
新興市場での事業展開については「所得水準が米欧と異なっており、水準が上昇すれば品質、長寿などを象徴するブランドとして認知してもらえるという長期的視野で取り組んでいる」とした上で、「米欧市場と同じ手法を当てはめるのは過ちだ」と述べた。
事業提携については積極的なグラクソ・スミスクラインだが、M&A(合併・買収)については「企業の価値を破壊することが多い」と指摘。製薬業界は個人の創作力に価値の源泉があるが「能力のある人ほど大企業を辞めて起業する傾向が強い」と述べ、M&Aに対して消極的な姿勢を示した。
欧州の財政危機については、各国政府が取り組む支出削減の影響で医薬品価格が下がることによる悪影響を懸念。また成長率が低下する中でシェア争いが激化するとの見方を示した。一方「欧州の外では事実以上に否定的なレトリックが広まっている」とも指摘。世界経済に及ぼす影響についてはもうしばらく様子を見るべきと話した。
2011年10月25日 日本経済新聞
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