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建設経済研/復興工事にCM導入を、資金繰りへの配慮も/震災踏まえ課題整理

 建設経済研究所は、東日本大震災への建設業の対応をめぐる課題を整理し、課題解決に向けた施策の方向性を示したリポートをまとめた。復旧活動時の資金繰り不安解消のための対応強化や、建設機械の津波被害をカバーできる損害保険制度の検討などが必要だと指摘。被災自治体の行政機能を補完する一環で、民間企業が復旧工事の発注業務を担うコンストラクションマネジメント(CM)の導入など、民間の技術・ノウハウの積極的な活用も求めている。



 今回の震災では、被災自治体の行政機能が著しく低下し、復旧工事の発注体制が不十分な状況に陥ったことを指摘。建設会社が復旧作業に注力するため、施工中の公共工事を一時ストップしたが、がれき処理が遅れたこともあり、作業に関与できなかった企業が内陸部で多数発生したことを問題点として挙げた。国土交通省の受注動態統計では、岩手、宮城、福島の被災3県とも3、4月は建設業者の受注量(金額ベース)が前年同月を下回った。国が震災対応経費を除く公共事業関係費5%の執行を留保するなど、発注行政の混乱は全国にも広がり、建設業全体で不安・不満が高まったことは否めないとしている。



 こうした状況を踏まえてリポートは、行政は被災直後の復旧に多忙な時期の中でも、建設会社が復旧活動に全力で取り組めるよう、労働者への賃金や資材購入費の支払いなど、資金繰りには十分配慮するべきだと指摘した。本復旧工事の早期発注に向けては、国や他の自治体からの職員派遣に加え、CMなど民間活用の必要性を強調した。CMの担い手としては全国展開するゼネコンなどを想定。地域の建設業者との役割分担は可能だとして、国などがモデル的な方法を示して市町村でのCM導入を後押しするよう求めた。



 津波で建設機械が流失した問題への対応では、▽海岸近くに機械があったのは発注者の工事の位置に原因がある▽今後の工事で建設業者が同様のリスクを負うことを忌避する可能性がある-などの点を踏まえて補償のあり方を検討するよう要請。さらに、将来的にはこうした被災リスクをカバーする保険制度も必要だとした。物資調達など広域災害対応での建設業の役割を明確化し、事業継続計画(BCP)策定の普及拡大と計画内容の改善にも継続して取り組むよう求めている。

2011年10月24日 日刊建築工業新聞

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