ロート製薬の山田邦雄会長 遺児を長期支援
東日本大震災で親を亡くした子供たち(震災遺児)の大学進学を支援するため、入学金や授業料などを全額負担する「みちのく未来基金」をカゴメ、カルビーとともに21日に共同設立するロート製薬。民間企業では異例の約25年間という長期支援を打ち出した山田邦雄会長に就学支援への思いを聞いた。(藤原章裕)
--民間企業としては異例の長期支援だが
「東日本大震災は、従来の災害と規模が違う。被災地でがれきの中に当社の商品を見つけたときには胸が痛んだ。東京電力福島第1原子力発電所の事故を受け、企業のあり方も問い直された。ひとごとで済ますわけにはいかず、自らの襟を正さなければならないと感じた」
--震災遺児への就学支援を打ち出した理由は
「被災した子供たちは困難な状況の中で立ち上がらなければならず、絶望的な気持ちになる。次世代を担う子供たちに希望を持って頑張ってもらいたい。苦しさを乗り越えた人は優れたリーダーになる。高校を卒業する18歳以降、社会へ出るまでの公的支援は弱く、この『エアポケット』の部分を集中して支援しようと思った」
--25年後には会長、社長はもちろん、多くの幹部社員は引退する。若い社員は負担に感じないか
「基金という形であり、複数社で支える仕組みなので安定度は格段に増す。会社が傾くほどの出費ではなく、今の若い社員はボランティア活動にも熱心だし、記者会見という形で社会にコミット(約束)したので頑張ってくれると思う。日本の企業の価値観を世界に示すことができる」
--震災直後の3月下旬に「震災復興支援室」を立ち上げた
「若い世代を中心に積極的に手を挙げてくれた。その中から選抜した。長期支援なので、若い世代の方がよいと感じた」
--カゴメ、カルビーとは業種がまったく違うが
「両社のトップとはもともと交流があった。当社と同じく、(一般家庭向けの)消費財メーカーであり、社会貢献にも熱心な企業体質も似ている。まず、この2社に声を掛けたところ、トップ判断ですぐやろうとご賛同いただいた」
--基金設立の記者会見後、他の企業や個人からの反応は
「複数の個人や団体から寄付の申出をいただいており、基金設立後に寄付を受ける予定だ。活動が軌道に乗れば、本格的にいろんな企業に声を掛けさせていただく」
■やまだ・くにお 東大理学部卒、慶応ビジネススクールMBA取得。昭和55年ロート製薬。平成11年社長就任。21年6月から会長兼最高経営責任者(CEO)。大阪府出身。55歳。
2011年10月20日 産経ニュース
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