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東京都、海外水ビジネス「橋渡し」 参入企業を支援

 東京都は海外の水ビジネスに参入しようという民間企業を支援する仕組みを立ち上げる。海外の水道事業者と日本の企業を橋渡しし、事業連合体の形成などを支援するほか、第三セクターの東京水道サービス(TSS、東京・新宿)を通じた事業参画も検討する。海外の水ビジネスに関して自治体が企業を支援する仕組みを作るのは全国で初めてで、官民一体で取り組むモデルとして注目されそうだ。



 都は支援を希望する登録企業の公募をすでに始めている。要件は海外に事業所や営業拠点を持ち、独立行政法人国際協力機構(JICA)の案件を受注した実績があるなど、海外の水道事業に参入できる能力を持つ日本企業。登録企業はすべて支援を受けることができる。都は11月下旬にも支援を開始する計画だ。



 具体的には技術協力の依頼や事業参画の打診など、海外の水道事業者から都に寄せられる協力要請についての情報を登録企業に紹介する。その上で各国の水道当局と登録企業とを仲介し、官民や民間同士での事業連合体の形成などにつなげる。



 またTSSを通じた海外の水ビジネスへの事業参画も検討する。同社が出資や技術協力などで参画する場合には、都が相手国政府への協力を表明する。相手国の水道事業者から技術者を研修生として日本に受け入れるほか、都の水道局幹部やTSS社員などでつくるチームを派遣することを検討している。



 浄水場や水道水を供給するための水圧調整を行う水運用センターなど、都の水道関連施設への海外関係者の視察受け入れ事業も拡大する。これまでは海外の水道当局からの申し入れによるルートだけだったが、今後は登録企業が海外の水道当局の担当者を日本に招く際にも活用してもらう。



 民間企業は原則として無償で都の支援サービスを受けられる。海外の水道事業への参入を目指す国内の他の自治体との競合を避けるため、各自治体の担当者が定期的に集まって協議できる場を設ける。



 都は今月上旬、ベトナムで水道事業に参入することを表明。TSSを通じて出資する方針を明らかにしており、年度内にも水道事業大手のメタウォーター(同・港)や現地の水道当局などと合弁会社を設立する。新会社がハノイ市内に日量30万トン規模の大型浄水場を建設する計画だ。



 都は浄水処理や漏水防止で世界最高の技術水準を持つ。アジアなど発展途上国では経済成長や人口増加を背景に、水源の不足や水質悪化など深刻な問題が浮上している。都は前面に出て民間企業による海外進出を後押しし、各国の水問題の解決にも乗り出すことにした。

2011年10月19日 日本経済新聞

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