北海道の産品、高付加価値化に遅れ 食のイメージ調査
豊かな大地や海を誇り、「食の一大拠点」ともいえる北海道だが、道外で知名度があるのはジャガイモなど昔ながらの定番ばかり――。日本経済新聞がインターネットで実施した「北海道のイメージ調査」でこんな実態が明らかになった。乳製品やスイーツなど、高付加価値化を狙った食品の知名度は低率にとどまった。一方、道産食品に魅力を感じる人は多く、いかに新顔を売り込んでいくかが課題となっている。
首都圏と近畿圏の消費者に道産食品と聞いて真っ先に思い浮かぶもの(複数回答)を聞いたところ、ジャガイモがトップで全体の46.5%を占めた。続いてカニ(40.2%)、サケ(20.7%)、トウモロコシ(20.6%)と、北海道の特産として定着している素材が並んだ。
一方、酪農王国として、大手乳業メーカーだけでなく、地元の牧場などの参入も目立つ乳製品では、チーズが7.6%、バターが7.4%と低迷した。ここ数年、販路開拓に力を注ぐスイーツ・菓子類も7.3%にとどまった。
道内では、2010年春に、生産者や企業などが食クラスター連携協議体を立ち上げ、食材の高付加価値化と販路開拓に取り組んでいる。道産の小豆や小麦、バターを使うスイーツ類はホテルなど観光産業も後押ししている。クラスター構想の象徴的な存在だが、道外の関心はまだそれほど高くない。
道内各地では特産品のブランド化に取り組んでいる。知っているブランド食品を尋ねたところ、群を抜いて多かったのが夕張メロンの91.7%。これに十勝ワイン(77.3%)が続いた。一方、厚岸産カキは17.6%、鵡川産シシャモは7.3%、白老産牛肉は3.1%と低水準だった。
それぞれの品目では道外に十分浸透していないものの、道産食品そのものに好印象を持つ人は多い。「道産食品を食べたいか」への回答は全体の9割。どんなイメージを持つか聞いたところ「新鮮」(71.9%)、「味がいい」(71.8%)の項目で高評価を得た。
これまで、道内の食関連産業は素材のよさにあぐらをかき、売り込む努力が足りないと指摘されてきた。今回の調査でも潜在力が高いことをうかがわせるだけに、改めて、いかに道外に売り込んでいくかが課題となる。
道産のブランド食品の購入・入手方法を聞いたところ、「旅行や出張時に北海道で」が最も多く53.4%で、「土産や贈答品でいただいた」(43%)が続いた。一方、「近くのスーパーで」は19%、「近くの百貨店で」は15.5%、「ネット通販で」は11.3%にとどまった。関心は高いものの、身近に買える環境がないために、実際の売り上げにつながっていないことが分かる。
実際、今後どうなれば道産ブランド食品を食べるかという問いに対しては、「近くの店頭に並ぶ」が69%と最も高く、販路の重要性をうかがわせた。道内では農工商連携による食の6次産業化が進められ生産者と流通業の連携も見込まれるだけに、確実に道外の消費者に道産食品を届けられる拠点づくりが急がれる。
▼調査の方法 首都圏と近畿圏在住の20歳以上の男女7000人を対象に、9月22~28日、日経リサーチを通じてインターネットで実施。1143人から回答を得た(回答率は16.3%)。
2011年10月18日 日本経済新聞
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