八十二銀、動産担保融資の査定費安く 中小企業の利用促す
八十二銀行は不動産の代わりに商品在庫や建設機械などを担保とする動産・債権担保融資(ABL)への取り組みを強化する。担保価値の査定にかかる費用を低く抑えるため、特定非営利活動法人(NPO法人)と業務提携し、11月中をめどに運用を始める。資金調達しやすい環境を整えて、不動産を持たない中小・ベンチャー企業の経営を支援する。
NPO法人の日本動産鑑定(東京・中央)とこのほど業務提携した。ABLは売掛債権のほか、在庫商品などを担保に融資する仕組み。在庫の場合、信用保証協会の保証を受けられる融資限度額が通常は簿価の3割だが、評価機関に担保価値の評価を依頼することで7割まで引き上げられる。
担保となる在庫の簿価にもよるが、日本動産鑑定の評価料は1件あたり数十万円程度になるとみられ、中小・ベンチャー企業の負担を抑えられる。支店の担当者らを通じて取引先に提案していく。
八十二銀はこれまで、担保査定で豊富な実績を持つゴードン・ブラザーズ・ジャパン(東京・千代田)と提携してABLに取り組んできた。ただ、企業が同社に払う評価料が200万~300万円程度だったため、資金力に乏しい中小が利用するのは難しかった。
八十二銀の売掛債権と動産担保の両方を含むABLの残高は、2011年3月末時点で161先に対し52億円で、件数は地方銀行の中でもトップレベルという。52億円の半分以上は売掛債権を担保にした融資であるため、特に中小・ベンチャー企業が利用しやすいように動産担保融資向けの体制を整えた。
県内では酒造業者が在庫として持っているワインなどの酒類、電子機器メーカーのレアアースなどを担保にした融資実績がある。今後は個別のニーズに合わせて、評価が高く出やすい在庫商品などでABLの活用を提案する。
日銀もABLの強化を後押ししている。成長支援の貸出制度を拡充し、総額5000億円の貸出枠を新たに設定することを6月の金融政策決定会合で決めた。9月に初めて実施した金融機関への資金供給では、計381億円の融資額のうち8割がABL向けだった。
2011年10月13日 日本経済新聞
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