埼玉・上尾市の中小8社、改造電気自動車を共同開発へ
埼玉県上尾市を地盤とする中小企業8社が共同で低価格の電気自動車(EV)の開発に取り組む。既存のガソリン車をベースに切削やプレス加工が得意な企業などが協力してEVに改造。今秋の市の展示会に試作車を出展する。大手自動車メーカーの海外生産強化で受注が減少するなか、新分野の開拓により、地域の企業の受注拡大を狙う。
プレス加工や油圧メーターの製造会社などの自動車関連企業に加え、自動車整備・販売店や温度計メーカーなど上尾商工会議所の異業種交流クラブに参加する企業が母体となる。開発を主に手掛けるのは8社だが、UDトラックスなど市内に多い自動車関連企業にも、必要に応じて協力を求める考えだ。
試作車はスズキの軽乗用車「ワゴンR」をベースに開発する。電池は従来の鉛蓄電池、モーターは安価な市販品の活用を検討しているが、モーターを固定する台やモーターの回転を車輪に伝達するのに必要な接続部品などについて、それぞれの企業が持つ加工の知識や技術、ノウハウを持ち寄る。
フル充電時に50キロメートル走行でき、50万円で改造できることを目標にする。三菱自動車や日産自動車のEVは1回の充電で100キロメートル以上走行ができるが、価格が200万円以上する。改造EVは主に上尾市内での走行を想定。安さを売りに地域の「足」として自治体や地元の金融機関などに提案する。駅前でのカーシェアリングなどで活用してもらうことで地域貢献にもつなげたい考え。
自動車業界は大手メーカーが相次ぎ海外での生産を強化しており、国内の中小零細の受注減少への危機感は強い。今回のEV開発の代表企業である日伸産業の河原塚透専務は「親方についていけばいい時代ではなくなってきた」と話す。中小零細企業にとって海外展開は容易ではなく、EVによる新たな需要の喚起で販路の開拓を狙う。
2011年02月25日 日本経済新聞
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