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石川県、食品輸出ノウハウ公開 モデル企業に補助金

 石川県は、海外市場への直接輸出を増やしたい食品メーカーなどから「モデル企業」を選定して補助金を支給し、輸出状況やノウハウをセミナーなどを通じて公開する。ノウハウを中小企業に広く共有してもらい、海外市場開拓を後押しする。国内市場が縮小傾向にある中で、中小企業も輸出実務や海外マーケティングの能力を向上させる必要があるとみている。



 モデル企業の業種は限定しないが、潜在的な海外需要が大きいとみている加工食品などを中心に外部有識者らの審査を経て6社前後を選定。年間200万円を上限に、3年間、海外ビジネスの費用を補助する。福島第1原子力発電所事故による風評被害や円高などで食品輸出が難しくなったため、モデル企業の選定を見合わせていたが、「輸出の強化は将来に向けて不可欠の課題」と募集の手続きに入る。



 モデル企業は補助金を受給する一方で、県が定期的に開く輸出セミナーに参加。輸出を増やすための具体的な取り組みや実績、ノウハウを出席企業に公開する。石川県のこれまでの輸出支援は海外見本市への出展費用の補助などが中心で、効果が当該企業に限られていたが、モデル企業の情報を広く発信することで「他の企業の輸出意欲を喚起できる」(産業政策課)としている。



 食品の風評被害の払拭を支援する体制も整えた。6月に県保健環境センター(金沢市)にある「ゲルマニウム半導体検出器」でセシウム137などを無料測定するサービスを開始した。これまでに、しょうゆやカニ風味カマボコといった約15品目の輸出食品を検査し、放射線測定データを添付した証明書を発行した。



 石川県が日本貿易振興機構(ジェトロ)に委託して実施したアンケート調査によると、回答452社のうち2010年に輸出実績があったのは179社で、輸出総額は2044億円だった。このうち加工食品が含まれる「調製食料品、飲料、アルコール」は約1億8600万円と全体の0.1%にとどまった。



 同県の加工食品メーカーでは輸出額上位の水産加工品のスギヨ(七尾市)でも輸出額は売上高の1%に満たず、将来的な海外市場開拓の余地は大きいとみられる。



 石川県は昨年3月、14年度までの5年間の「産業革新戦略2010」を策定。基幹産業の一つに位置付ける食品産業については、富裕層人口が増加している中国や和食ブームの米国など海外市場への情報発信や販路開拓の強化を掲げた。

2011年10月04日 日本経済新聞

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