関西の中小企業、交流サイトの活用広がる 口コミで顧客拡大
関西の中小企業で交流サイト(SNS)や新しい携帯情報端末をビジネスに活用する動きが広がってきた。SNSの口コミによる営業支援や新製品の企画、端末の高い機能を駆使した社内の事務効率化など多様だ。各社が抱える経営課題をIT(情報技術)の導入で、解決につなげる。
フォーマルウエア店「ノービアノービオ」を運営するNFL(大阪市)は、SNSのフェイスブックを顧客の掘り起こしに活用する。
川辺友之社長は今年1月から、店の話題などの投稿を始めた。「商品を気に入ったらフェイスブックで紹介し、口コミで宣伝してくれる」(川辺社長)。売上高は前年同月比で1割増のペースだ。
客が来店したことをつぶやけば、その客のフェイスブックに登録した知り合い1人につき1円を割り引くサービスもある。同社はフェイスブックの法人ページを開設。2年後の台湾出店を目指し、中国語の広告の掲載を始めた。
パイプ加工の摂津金属工業所(大阪府東大阪市)。今夏、田中啓司社長が最新のレーザー加工機の導入をフェイスブックで報告後、工場の見学依頼が相次ぐ。同社のホームページへのアクセスも増え、田中社長は「新規取引先の開拓のきっかけになっている」と語る。
製品開発に生かすのは生活雑貨の企画・販売を手掛けるカワキタ(東大阪市)だ。女性の利用率が高いSNSのミクシィなどを通じて、若い母親から乳幼児や母親向けの製品開発のアイデアを募る予定。
手軽に人的ネットワークを広げられるため、SNSに注目が集まる。特にフェイスブックは実名登録が原則で、ある程度、情報の信頼性が担保できる。「商売の前に個々人の信頼関係が、まずありきなので、自社ファンづくりがしやすい」(NFLの川辺社長)
中小の関心も高い。堺商工会議所が9月中旬にフェイスブックセミナーを開き、60人の定員に約120人の応募があった。大阪の繊維関連企業の有志で組織する「せんば適塾」もフェイスブック講座を立ち上げた。
ただ注意も必要だ。SNS活用策を研究する任意団体、ソーシャルメディアドライブ(大阪市)の道端俊彦代表は「手軽にできるからこそ、社内のルールづくりが不可欠」と強調する。例えば、「従業員の個人的なつぶやきは会社と関係ない」といった具合に外部に明確にすることや、従業員が勝手に社内情報を漏洩しないよう規定を定めることなどを挙げている。
2011年09月30日 日本経済新聞
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