型枠大工の不足深刻/低賃金で離職急増、今後5年で自然減2割/日建大協
型枠大工の不足が危機的状況に近づいている-。日本建設大工工事業協会(日建大協、三野輪賢二会長)が、昨年9月時点で行った「型枠大工雇用実態調査」を基に、有効な対策を講じないまま現状を放置すれば、今春から顕在化する不足が5~10年後には危機的状況になり、安全・品質・工程管理に大きな影響が出ると警鐘を鳴らしている。賃金の減少で若年層の入職減と離職増が深刻化し、高齢化が急速に進んでいるためだ。同協会は窮状打開のため、3月上旬にも国土交通省や元請業者団体に対し、改善に向けた陳情や申し入れを行う方針だ。
調査は非会員を多数含む全国の480社を対象に実施。型枠大工の職長や技能工の数、年齢層、賃金について1年前との比較で実態を把握した。調査結果によると、全国の型枠大工数は前年比で13%の減少。東日本地域では東北(18%減)、北陸(24%減)が高い減少率となっている。関東は13%減。西日本地域では四国(16%減)減少率の高さが目立つ。型枠大工の減少について同協会は「建設投資の減少スピードをはるかに上回っている。業界全体の技能工減少率に比べても型枠大工の減少率は高い」としている。
就労者の年齢構成のいびつさも深刻だ。50代以上が全体の44%を占める一方で、若年層(10代と20代)は12%にとどまる。若年層が少ないのは、▽業界の「3K」イメージの定着▽低賃金重労働▽正社員雇用に基づかない業界構造▽技能工が技術者として評価されていない-などが原因としている。中でも08年秋のリーマンショック以降は型枠施工単価が暴落して工賃も急減。これを機に多数の技能工が型枠大工に見切りをつけ、他産業に転出したと分析している。現状の年齢構成のまま推移すれば、今後5年間で55歳以上の技能工が退職時期を迎えることになり、自然減だけでも17~20%減少するとの予測が成り立つという。
賃金も減少している。型枠大工の年収は、全産業の平均年収を大きく下回る。年間就労日数を234日として試算した年収(年間必要経費36万円を控除)は、最も高い関東地区の職長レベルで実質309万円、技能工で257万円にとどまり、他産業と比較してかなり見劣りのする収入・就労条件となっている。
2011年02月25日 日刊建築工業新聞
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