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新潟県内の自治体、公共工事入札で中小に配慮

 新潟県内の自治体で公共工事の入札制度を見直す動きが広がっている。新潟市は業者格付けで低いランクの企業を対象とした入札を10月から始めるほか、2012年度には制度の大幅改正を検討する。上越市は入札の最低価格を制限する対象工事を拡充した。公共工事の減少で建設・土木業の経営環境は厳しさを増しており、中小企業に配慮した制度に見直す。



 新潟市は10月11日に入札公告する工事から、入札制度の一部を見直す。企業規模などを基にしたA~Dの4段階の業者格付けで下位のC、Dランクの企業を対象とした入札を試行する。C、Dランクに多い中小の業者に配慮する。



 市が導入している総合評価方式は、実績や技術力、価格などの項目を点数化して、受注企業を決める仕組みで、大手企業に有利とされている。土木・電気工事で2500万円未満、建築で5000万円未満の少額工事を同方式の対象外とする。



 市は来年度、同方式の評価項目や配点などを見直して、中小企業も入札しやすいようにする。一定額以上の高額工事の受注回数を制限し、受注企業が偏らないようにするほか、1度も受注がない市内企業を対象とした入札も始める。



 これまでの新潟市の制度は実績や技術力のある大手などの特定企業に受注が集中し、中小企業が受注しにくいとの指摘があった。



 上越市は最低制限価格の対象となる工事を6月から増やした。従来は2000万円以上だったが、130万円以上に拡大した。無理な価格での受注を減らし、企業の経営安定化につなげる。



 県も中小企業に配慮した入札の仕組み作りを進める。今年度から最低制限価格を予定価格の91%以上に引き上げた。従来は90%以上だった。



 地元企業への発注を増やすため、国や市町村との協議会を今年度中に設立する。道路や河川などの公共土木施設の維持管理を、地元企業が共同で複数年度受注できる制度の導入も検討する。



 自治体が地元の中小企業に配慮するのは、公共工事の減少で建設・土木業が過当競争を強いられているためだ。東日本建設業保証によると、10年度の県内の公共工事請負金額は3510億円と10年間で約4割減少した。



 ただ、優遇策が行き過ぎれば事業費が増加する恐れもある。自治体は効率化と地場企業保護のはざまで苦慮しそうだ。

2011年09月28日 日本経済新聞

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