白熱電球販売禁止! EUの家庭用ランプ事情
EU(欧州連合)諸国でも白熱電球から省エネランプへの切り替えが急速に進んでいる。電力消費量を約8割削減できる省エネランプの普及に社会全体で取り組む姿勢は日本と同じだ。しかしその手法は異なり白熱電球の製造・販売禁止が義務化されている。ここではEUの家庭用ランプ最新事情をお伝えしたい。
■2016年に完全移行
さすがに白熱電球の販売を一気に禁止すると混乱するので、ワット数の高いものから順に実施されている。EU環境指令「No.244/2009」に基づき、まず100ワットを超える白熱電球が2009年、75ワット以上が2010年に禁止され、この9月1日からは60ワット以上が店頭から姿を消した。2012年には40ワットと25ワット電球も続き、2016年からはエネルギー効率の高い、いわゆる省エネランプだけが購入可能になる。例外として特殊なランプ、例えば車両用ランプ、高温に耐えるオーブンのランプ、冷蔵庫内部のランプなどは60ワット以上でも2012年まで禁止が猶予される。
これまで実施された白熱電球の製造・販売禁止により大きな問題が起きたという話は聞かない。禁止以前から小売店の白熱電球コーナーは小さくなり、代わりに省エネランプの種類が増えていたので、ほとんどの消費者がおのずと省エネランプへ切り替えていたはずだ。省エネランプの価格は高いが、節電でき寿命も長いということで消費者は納得している。
ただし、ここでいう販売禁止とは「白熱電球を新たに入荷して販売できない」という意味で、小売店が在庫を販売することはOK。根気よく探せば売っている店を見つけられるかもしれないがそれも一過性で、近い将来、白熱電球は完全になくなる。白熱電球の製造と販売の禁止はEU域内に適用され、EU外からの輸入や個人的な持ち込みも禁止だ。消費者はもちろん白熱電球の寿命が尽きるまで使い続けてかまわない。
市民の白熱電球への愛着は強く、ちょっとした抜け道的な販売方法もある。先日、小売店をのぞいたら60ワットとほぼ同様の「55ワット白熱電球」が売られていた。また、照明ではなくあくまで暖房器具として白熱電球を製造販売する業者も若干存在する。
■電球型蛍光ランプからLEDランプへ
現在、ドイツで主流になっている省エネランプは電球型蛍光ランプ。通常の蛍光灯同様、暖かい色合いの電球色と、事務に適した白色などが用意され、大きさやデザインもバラエティーも豊富。しかし、電球型蛍光ランプの普及は日本より多少遅れ気味だったように感じる。これだけ環境保全と省エネに厳しい国で少々不思議に思えるが、蛍光灯に馴染みが薄かったことが影響していたようだ。
まず、ドイツの住宅では日本のように蛍光灯を照明に使う習慣がなかった。ドイツ人は建物の内装にうるさく、日本人に比べると室内照明に凝る人が多い。室内の雰囲気に合わせて白熱電球やハロゲンランプを使うのが一般的だった。
また、蛍光物質に含まれる水銀の健康被害を心配する声もある。しかしその量はごく微量のため、誤って電球型蛍光ランプを割ってしまっても健康上の問題はない。いずれにしろ、蛍光灯、電球型蛍光ランプは特殊なゴミとして回収されている。
電球型蛍光ランプに続きLEDランプの販売も始まっているが割合としてはまだ小さく、筆者自身、小売店以外で実際に使われているのを見たことがない。商品の種類が少ないほか、電球色のLEDランプがまだほとんどなく、室内照明として好まれないという事情もある。しかしこれは技術上の課題なので早晩適した商品が登場するはずだし、全体としてみれば環境性と寿命の長さから家庭用の照明にもLED電球が普及しそうだ。
2011年09月27日 ITメディア
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