【はじめて物語】駅・車内ポスターの文化育む「秀作展」
1956(昭和31)年、第1回「秀作車内ポスター展」が銀座6丁目の折込広告社(現・オリコム)で開催された。前年に掲出された駅や車内のポスターの中から優秀作品を表彰するという、日本で初めてのポスター展だった。この年、経済白書は「もはや戦後ではない」と日本の復興を宣言した。
その3年前からは民間テレビの放送も始まっており、CMも順調に伸びていた。日本の広告費が745億円になるなど、広告業界は活況を呈していた。
当時、週刊誌は1922(大正11)年に登場した新聞社系のものだけだったが、初の出版社系週刊誌として「週刊新潮」が創刊されたのが、この56年だった。以降、週刊誌の創刊が相次ぎ、車内ポスターは格好の広告媒体として注目を集めていった。
展示会場を銀座の文春画廊に移した3回目のポスター展は、イラストと手書き文字に代わって写真を使用したおしゃれなポスターが登場するようになる。入場者も1日1000人を超す人気で、デザイナーなど広告関係者はもとより、学生たちにもポスター文化のすばらしさを伝えるイベントとなった。
その後、会場は銀座5丁目の日産ギャラリーに移り、89年の国鉄民営化を機に、他で開催されていた「国鉄広告展」「新幹線広告展」と合流、「交通広告グランプリ」として現在も継続している。
5回目あたりから女性誌のポスターが登場し、それまでの目次羅列型からビジュアル中心に大きく変貌し始めた。12回目には百貨店や化粧品の中づりにはじめてワイド版が登場。以降、ポスターにワイド化の傾向が広まっていった。
現在、首都圏のJRの中づり(B3)だけでも28社分のポスターが掲出され、2-4日の間隔で入れ替えられている。その内容は千差万別。芸能・生活情報から国際政治の話題まで、情報量としても膨大なものがあり、首都圏で働く人たちにお役立ち情報を提供している。
■企画のヒント
時代の最先端のトレンドが見事に凝縮されている車内ポスターは、企画のヒントの宝庫。ただボケッとながめているだけではもったいない。空いている時などは、車内を移動していろいろな情報を集めてはいかが。きっと役に立つはずだ。
2011年09月27日 ZAKZAK
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