問われるサムスン方式…他社製品のマネには限界も
【テーマ1】韓国メーカーに良い薬「スマホ訴訟」
韓国サムスン製のスマートフォンを扱っているNTTドコモの山田隆持社長は、サムスンが米アップルの特許を侵害しているとしてドイツで販売差し止めの仮処分が下されたことについて、「日本とは状況が異なり、サムスン側からは販売に支障がないと聞いている」と語った。
ドイツにおけるアップルの訴訟は技術に関するものではなく、アップルのiPadとサムスンのタブレット型端末「ギャラクシータブ10・1」の形が似ているというデザイン盗用の問題です。これで販売が差し止められるのなら、日本メーカーも韓国の製品を片っ端から訴えてもいいかもしれませんね。
サムスンにとって今回の訴訟は、世界一流メーカーになるために避けて通れない道です。デザインも含めてオリジナリティーを出さなくてはダメだというわけです。
今回の訴訟は韓国メーカーには非常にいい警告になったと思います。他社の既存品を分解して分析する「リバース・エンジニアリング」の手法で中身をまね、より良いものをより安く、より巨大なスケールで作るというサムスン方式を、デザインも含めて見直すいい機会でしょう。
一方、ドコモの山田社長は今回の訴訟を受け、あわててコメントを出しました。ギャラクシー・シリーズはドコモにとって売れ筋ナンバーワンの機種なので、早々と予防線を張ったのでしょう。しかし、今回の件は日本ではあまり問題にならないと思います。もちろん、日本のアップルがドコモ・ギャラクシーの売れ行きにジェラシーを抱いて訴える可能性もないとは言えませんが。
スマートフォンの特許をめぐっては、各社が入り乱れて訴訟を起こしています。アップルはサムスン以外にもノキアやアンドロイド陣営の台湾HTC、モトローラを訴えていますし、ウィンドウズフォンを販売するマイクロソフトもモトローラを訴えています。一方で、グーグルとモトローラ、マイクロソフトとノキアが提携するなど、合従連衡が繰り広げられています。
しかし、この争いは早くどこかで落ち着いてもらわないと、困るのは利用者です。使っている製品がある日突然、販売停止になり、その後の開発はできないということになると、大変な迷惑を被ります。
とくに今回の訴訟のような、デザインが問題になるようなケースについては、メーカーは真剣に考えなくてはいけません。韓国メーカーはこれまでもソニーやシャープ、トヨタやホンダのデザインをパクって製品を出してきましたが、世界一流になりたければデザインも一流になる努力をするべきでしょう。
【テーマ2】キャリアトップと組む事が重要
米調査会社ガートナーによると、2011年のパソコン世界出荷台数は前年比3・8%増にとどまるという。
途上国ではまだパソコンがそこそこ売れているため、全体の出荷台数は若干ながら増加しています。しかし、ほとんどの先進国ではマイナスで、市場はiPadやiPhoneに代表されるタブレットやスマートフォンに移っています。iPadユーザーの中にはPCや携帯も含めて1日に6-7時間もネットを使っている人がいると言いますから驚きですね。
そのアップルについて、米タイム誌は製品群をリンゴの木にたとえたイラストを掲載しました。それによるとiPhoneの幹が圧倒的に太く育っています。
その幹の先端にベライゾン・ワイヤレスという米国トップの携帯電話会社の名前があります。米国でのiPhoneは当初、2位のAT&Tが独占的に販売していました。しかし、AT&Tの販売力はそれほど強くなく、iPhoneの普及も爆発力に欠けていました。あとからきたアンドロイドに追い抜かれたほどです。
ところが今年2月、ベライゾンもiPhoneを扱うようになると、一気に450万台を売り、iPhoneの売り上げは急伸しました。
つまり、キャリアのトップと組むことが重要ということです。日本のiPhoneは3位のソフトバンクが販売していますが、ドコモと組めば果てしなく伸びていたことでしょう。実はこれが、製品とソフトとキャリアを一体化させるという完璧主義の思想を持つアップル、すなわちスティーブ・ジョブズ氏の戦略の限界だと思います。
2011年09月26日 ZAKZAK
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