家計の現預金、6月末最高の828兆円 安全志向強まる
日銀は20日、4~6月期の資金循環統計(速報)を発表した。企業や家計が安全志向を強め、現金など流動性が高い資産を引き続き高い比率で保有していることがわかった。金融資産残高のうち「現金・預金」は、家計が前年同期比1.9%増の828兆5155億円、民間非金融法人企業が同5.5%増の204兆4826億円だった。家計は過去最高、民間企業は3月末に次いで過去2番目の高水準となった。
手元流動性を厚めに持つ傾向は東日本大震災の被害が大きかった東北や関東で見られた。6月末の国内銀行の個人預金残高は3月末時点に比べ東北が1.24兆円、関東が4.45兆円それぞれ増えた。いずれも過去5年間の同時期の平均(東北0.39兆円、関東2.89兆円)を上回った。「東北地方では、義援金や保険金の受け入れが増えた影響もある」(調査統計局)としている。
一方、地方公共団体などを含めた「一般政府」の負債残高は4.1%増の1076兆4128億円となり、9四半期連続で増加。民間非金融法人の負債残高(1036兆5697億円)を3四半期ぶりに上回った。国庫短期証券や国債・財投債の残高が約780兆円となり、過去最高水準に達している。
国債・財投債や国庫短期証券を合計した「国債等」の保有者の内訳をみると、金融仲介機関(銀行や農林系金融機関など預金取扱機関、保険・年金基金、その他金融仲介機関)が589兆円と過去最高となった。貸出が伸び悩む中で債券の保有比率を高めていることが浮き彫りとなった。海外は67兆円と2008年9月末以来の高水準に達した。
家計の金融資産は残高の合計が1.2%増と5四半期ぶりに増加。現金・預金が1.9%増、投資信託が1.7%増だった。一方、債券は10.4%減、株式・出資金が0.6%減だった。債券は12四半期連続のマイナスで、個人向け国債の償還などで保有比率が減っている。
民間非金融法人の金融負債残高は0.1%増と5四半期ぶりに増加したものの、借り入れは0.3%減と8四半期連続で減少した。
2011年09月20日 日本経済新聞
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