韓国で大規模停電、生活に混乱 残暑厳しく供給不足
韓国で15日午後、厳しい残暑で電力需要が予想以上に膨らみ、供給が追い付かず全国的に大規模な停電が発生した。銀行の窓口業務など経済活動の一部に支障が出たほか、エレベーターに閉じ込められる人が続出するなど市民生活に混乱が広がった。韓国は電力料金が日本の約3分の1と安いのが特徴だが、安定供給体制の確立という課題が露呈した。
15日は南部の大邱市で最高気温が34度を上回ったのをはじめ、各地で気温が平年より5度以上高い残暑に見舞われた。冷房などによる電力需要が高まって予備電力が安定供給維持に必要と定める400万キロワットを下回ったため、韓国電力公社は午後3時以降に予告無しで地域別循環停電に踏み切り、電力供給を強制的に停止した。こうした措置は初めてという。
突然の停電はソウルを含む首都圏や第2の都市、釜山などほぼ全国で発生。エレベーターの中に人が閉じ込められたほか、携帯電話の不通や信号が消えて交通が混乱するなどの影響が広がった。中小企業では操業の一時停止が相次いだが、自家発電設備を持つ大企業の生産には大きな影響はなかった。約5時間にわたった停電は気温が下がった同日午後8時ごろに終わった。
韓国メディアによると、夏の電力需要ピーク期を過ぎた9月初旬から約800万キロワット分に相当する発電設備が相次いで点検作業に入り、電力供給力が大幅に低下していた。韓電などは15日の電力需要を最大6400万キロワットと予想していたが、実際には約300万キロワット上回る6700万キロワット強となり、需給が逼迫した。
予告無しの強制停電で混乱が広がったことに関し、韓電は「あらかじめ警告するのが望ましいが、簡単ではない」と釈明。所管官庁の知識経済省は「電力需給の急変を予測できずに停電を招き申し訳ない」と謝罪した。韓電などは整備中だった発電設備の一部を急きょ稼働するなどして予備電力を高める計画。16日の電力供給には問題ないと説明しているが、安定供給や需給の状況を広く知らせる体制の整備が求められそうだ。
2011年09月16日 日本経済新聞
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