役員とフツ~社員、給与はこんなに違う!格差トップは「エース交易」
同じ会社で高額の役員報酬と従業員平均給与にどれだけ格差があるのか。東京商工リサーチが調べたところ、こんな結果が出た。なかには両者の開きが100倍以上となった社もある。極端な差は社員の心に不公平感を生じさせないか、あるいは「ウチの会社で出世すればもうかる!」と発奮材料になったりもするのだろうか。
調査では2011年3月期決算の上場企業で1億円以上の役員平均報酬と従業員平均給与を比較した。この格差ランクでトップとなったのは商品・金融先物取引の「エース交易」(東京)だった。
6億1800万円の報酬を手にした榊原秀雄相談役(80)は昨年、会長を退任。その際、5億9700万円の退職慰労金が計上されたため、かなりインパクトのある報酬総額となった。
榊原氏は愛知県出身で、商品仲買業者勤務を経て、71年にエース交易を創業した。同社は商品先物取引のほか、純金積み立て、インターネットでのFX(取引所外国為替証拠金取引)など事業を拡大。従業員数は269人(今年3月末現在)、11年3月期の営業収益は41億5400万円にのぼる。
エース交易によれば、榊原氏の退職金については「今年6月の総会でも『お支払いしました』とはかりましたが、特に質問も出ず、会社に問い合わせもありません」(広報担当者)とのこと。金額について同社のある社員は「40年の功労を考えれば、とてつもない額ではないと思う」と、妥当な線との見方だ。
退職金の支払い方は各社で異なる。エース交易のような一括方式もあれば、今回の調査で2位の保険調剤薬局をチェーン展開する「日本調剤」(東京)、3位のカー用品店などの持ち株会社「G-7ホールディングス」(兵庫)のように、在任中から引き当てておく社もある。日本調剤の三津原博社長(66)は4800万円、G-7の木下守会長(69)は3億9400万円が退職金の引き当てだ。また榊原、三津原、木下の三氏はいずれも創業者という共通点がある。
【上位はオーナー企業目立つ】
役員報酬との差が浮き彫りとなった従業員の平均給与について、各社はどう受け止めているのか。トップのエース交易は、「営業の会社で実力主義ですからもらっている人はもらっています。あまり気にならないのでは」(広報担当)。
続いて日本調剤は「従業員の平均年齢が31歳と非常に若いことを考慮すれば、それほど安くはないと思います」(広報部)とコメント。
G-7では「事業を広げているため新たに採用した従業員が多く、定年退職後の再雇用者も増えています。そのため(平均給与が)低めに出たのかもしれません」(広報担当)と説明する。
第一生命経済研究所の主席エコノミスト、永濱利廣氏は「上位に登場した企業は、オーナー企業が目立ち、順位が下がるにつれ、業界を代表する大企業が登場してくる。そこが興味深い」と指摘。「前者は起業して成功した人たちの『創業者メリット』に対し、従業員の平均年齢が低いためギャップが広がっているように見え、後者は、従業員の平均年齢が高く、その分、給与も高くなり、(格差が)縮まっている」と印象を語る。
起業して夢をつかむか、サラリーマンとして上り詰めるか。「誰でもチャンスは公平なので」と永濱氏。高額報酬、年収を手にする決め手は、やはり個人のヤル気次第だ。
2011年09月13日 ZAKZAK
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