生活保護窓口の水際作戦を「違法」と認定
日本弁護士連合会は、2013年2月22日、
「生活保護窓口における違法な運用の是正を求める会長談話」
を発表した。
これは、埼玉県に住む原告が生活に困って福祉事務所を訪れた際、
窓口の職員が生活保護を利用できないと誤解させる説明をして
申請を妨げ、その後、
原告らが生活保護の申請をしたにもかかわらず、申請があったものとして
扱わず窓口で門前払いした問題に対して、福祉事務所の対応は、
原告らの申請権を侵害した違法なものであるとして、
2月20日、さいたま地方裁判所が原告らの損害賠償請求を認容する判決
を言い渡したことに対するもの。
同連合会では判決について、
「生活困窮状態にある人を生活保護制度から不当に排除している
生活保護行政の在り方に警鐘を鳴らすものとして積極的に評価する」
としているが、
同時に、国及び地方自治体に対しては、
「あらためて、福祉事務所窓口における説明義務の徹底、
申請書の備え置き等、申請権保障を徹底し、
違法な運用が行われない体制を早急に整備することを求める」とコメント
している。
同連合会では、2006年から、生活保護の申請は「権利」である
として、福祉事務所窓口での申請権を侵害するような運用を
直ちに是正するよう求めてきたが、
同連合会が先ごろ実施した全国一斉生活保護ホットラインには、
窓口の違法な運用に関する相談が多数寄せられるなど、未だに状況は
改善されていないと判断しているという。
1月に政府が閣議決定した平成25年度予算案では、
生活扶助基準を平均6.5%(最大10%)引き下げて
3年間で総額670億円を削減するほか、
生活保護制度の見直しによって450億円を削減することが
決まっている。
現在、生活保護を利用し得る人のうち、
実際に利用している割合(捕捉率)は、約20%であるという。
これは、利用し得る人たちが生活保護受給に対してネガティブなイメージ
を持っているために申請していないことや、
申請しても、いわゆる「水際作戦」で、福祉事務所の窓口で
追い返されてしまうことが原因とみられている。
日本では特に、「貧困は自己責任である」といった考え方が根強く、
路上生活者や生活困窮者に対する風当たりも強いが、
先の民主党政権下において、餓死者の数が減少したことは、
生活保護の運用が進んだ効果であると言える。
また、たびたび問題視される「生活保護の不正受給」であるが、
その受給方法の悪質性だけがクローズアップされ、
実際に何件の不正受給があったかについては、あまり触れられていない。
不正受給の割合はというと、
金額ベースで生活保護費全体の0.4%程度であるという。
自民党が政権に復帰したことにより、
生活保護受給者に対する風当たりは、今後ますます厳しいものになると
予想されている。
生活保護法の改正については、現在、生活必需品の「現物支給」について
具体的な検討が進められているというが、
受給した生活保護費の使い道について調査する権限や、
生活保護受給者の医療費削減のため、申請者の健康診断の結果を調査する
権限を自治体が持つことについても、すでに検討材料となっているという。
参考リンク
http://www.nichibenren.or.jp/activity/document/statement/year/2013/130222.html
2013年03月07日
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