税金対策のすすめ-安心確実な会社設立を-
税金対策のすすめ
節税とは?
『節税』とは、「法律に則って納める税金の額を安くすること」を意味します。
虚偽の申告を行うなど、法を破って納税額を少なくする『脱税』とは全く意味が異なるものだという認識をまず持ちましょう。
納税は国民の三大義務の1つですので、たくさん税金を払うことは奨励されるべき行為という認識で間違ってはいませんが、資金繰りが大変な設立間もない時期ならば、納税額をなるべく低く抑え、会社として使えるお金を少しでも増やす努力も非常に大切なことだと考えられます。
ここでは新規開業の経営者にとって、身近に行える税金対策をいくつかご紹介します。
なお基本的に各対策項目は、会社の決算までに完了させておかなければなりません。
確定申告は「青色申告」で
最高65万円の特別控除注1や各種優遇措置、さらには赤字を7年間注2繰り越して後年度の黒字と相殺できるなど、
青色申告は税務上のメリットが非常に大きくなります。
「青色申告の承認申請書」を、所轄の税務署に必ず出しておきましょう。
注1) 65万円の特別控除は個人事業主の場合のみ
注2) 法人の場合7年間、個人事業主の場合3年間
消費税の課税制度を上手に選択
【必要な書類、届出一覧】の項でも触れましたが、設立後の2年間は「免税事業者」として扱われ、消費税の申告が免除されます。よって自動的に税負担が軽減されることになります。
しかし設備投資などで会社が多額の消費税を支払い、結果的に消費税が還付される状況となった場合でも、免税事業者はこの対象から外れてしまいます。
この場合は消費税の申告をしておいた方が得をすることになるため、「我が社は設立2年未満ですが、課税事業者になります」という届出を行えば(消費税課税事業者選択届出書の提出)、還付が受けられます。
なお2年間の継続適用ですので、実質的には最低2年続けて還付を出すような会計上のバランスを考える必要があります。
また、資本金1千万円以上の会社については設立初年度から「課税事業者」となり、消費税申告免除の恩恵が受けられません。
一部の会社にとっては不公平となるため、この場合は本則課税方式から簡易課税方式に算定方法を切り替える届出を行うことができます(消費税簡易課税制度選択届出書の提出)。
これで納税額が軽減され、負担が和らぐメリットにつながるのです。
経費は領収書でしっかり保管
事務所の家賃や光熱費、備品代、通信費など、会社としての収入を得るために要したものについては全て「経費」となります。
経費は1つ残らず計上しましょう。
計上しなかった分だけ、確実に、無駄な税金を払うことになってしまいます。
全ての経費について、その証明が必要となります。領収書はきっちりともらいましょう。
日付に宛て名書き、何を買ったかという但し書きまで入っていれば間違いありません。
インターネットでの販売などで領収書が出ない状況になった場合は、金融機関への振込明細がその証明となります。
1つ1つの経費を形に残して保管しておくことが、余計な支出を抑えることにつながるのです。
海外では日本の消費税が適応されないので……
ネット販売などで海外のユーザー相手に商売を行う会社には、こんな税法上の特典があります。
通常の場合、事業者は商品を販売する時に受け取った消費税の額と、商品を仕入れる時に支払った消費税の額と差し引く形で、消費税の納付額を算定します。
しかし消費税というのは、日本国内でのみ適応される税金ですから、海外の取引先に向けて販売する際には消費税の収受が不可能となります。
この場合、仕入れの際の支払い、そして諸経費に掛かる消費税の全額が事業者に還付されます。
なおこの場合、消費税の還付を受けられる「課税事業者」でなければなりませんので、資本金1千万円未満の会社は必ず「消費税課税事業者選択届出書」を所轄の税務署に提出し、原則的な課税方式で申告書を作成してください。
頼れる税理士に相談を!
上記の他にも、期をまたいでの売上調整や廃棄処分による原価調整など、
法人税、消費税、相続税の各税に対して、効果的な対策がたくさん存在します。
しかし複雑で理解しにくい仕組みもあるために、自力で税金対策の全てを行うことには無理があります。
確定申告の時期だけでなく、日々の業務の中で起こる問題について気になることがあれば、税務のプロである顧問税理士に相談し、適切なアドバイスを享受しましょう。
資金繰りに負担を掛けないようできる限り無駄な支出を防ぐには、書類作成や申請、届出など、数々のややこしい手続きを行わなければなりませんが、税理士の力も借りながら丁寧にこなしていくことで、安定した経営への糸口がきっと、つかめるはずです。