関東経営者の景況感「震災直後より改善」6割 先行き円高懸念
日本経済新聞社がまとめた「地域経済500調査」によると、関東1都6県の経営者の約6割が東日本大震災直後の半年前に比べ景況感が「改善している」と回答した。サプライチェーン(供給網)の回復で生産活動が上向いていることに加え、個人消費が持ち直していることが大きい。ただ、円高や欧州の財政危機など懸念材料も多く、再び景気の悪化を懸念する回答も目立った。
調査は9月下旬から10月上旬にかけ実施した。震災直後の半年前に比べ景気が「改善」と答えた企業の割合から「悪化」の割合を引いた景気DIはプラス48.3。全国10地区のうち、東海に次いで2番目に高かった。
景気が良くなった理由としては「サプライチェーンの回復」との回答が63.6%と最も多く、「震災後の消費自粛ムードの緩和」(30.3%)、「震災の復興特需の顕在化」(3.0%)が続いた。関東では旅行会社の予約やテーマパークの入場者数が回復傾向にある。個人消費の動向では3割以上が「活発になりつつある」と答えた。
関東地方では輸出産業や小売業はじめとする消費関連の割合が高いため、他の地域よりも景況感が改善しているとみられる。ただ、現在の景気が震災前と比べて「良くなった」は3.5%、「改善の兆しがみえてきた」は19.0%にとどまった。
2011年度の設備投資計画では10年度に比べ「やや上回りそう」が44.6%、「10年度と同じくらい」も30.3%だった。12年春の新卒採用は11年春と変わらないとの回答が約半数となったが、「やや増やす」も2割と緩やかに採用に前向きになっている様子がうかがえる。
今後の見通しについては歴史的な円高に加え、欧州の財政危機などで懸念材料が多いとみている。景気が再び悪化する危険性を聞いたところ「多少ある」と「相当ある」との回答の合計が75%に達した。関東では他の地域に比べ輸出企業が多く、特に足元の円高の進行が景気に悪影響を及ぼすとの懸念が広がっている。
経済の政策課題で十分とはいえないのはとの問いでは、「景気対策」が62.1%と最も多かった。「法人税減税など企業の競争力向上策」(36.4%)や「円高対策」(34.1%)も目立った。
2011年10月12日 日本経済新聞
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