「景気改善」近畿48%、先行き「やや悪化」23% 電力不安41%
日本経済新聞社がまとめた「地域経済500調査」で、近畿の主要企業の48.2%が足元の景気は半年前に比べて改善していると回答した。東日本大震災で寸断されたサプライチェーン(部品供給網)の復旧が進んだほか、堅調な新興国経済が下支えした。ただ景気の先行きに慎重な見方が全国に比べて多く、円高や電力不足問題が景気回復のリスク要因として意識されている。
景況感を示すDI(景気が半年前から「良くなった」「改善の兆し」と回答した割合から「悪くなった」「悪化の兆し」を引いた値)はプラス35.7。関東(48.3)は下回ったが、全国(35.4)を小幅ながら上回った。
景気改善の要因では、部品供給網の復旧や自粛ムードの緩和など大震災の影響の一巡を挙げる声が9割近くを占めた。新興国経済の成長と回答した企業も10.7%と多く、新興国需要が企業業績の下支え役になっている姿が鮮明になった。ただ、震災前の景況感と比べたDIはマイナス7.1にとどまっている。
半年後の地元の景気について聞いたところ、「やや悪化する」と予想した企業は23.6%に上り、全国平均(18.6%)や関東(19.0%)よりも高く、近畿経済の先行きには減速懸念が強い。3カ月後の国内全体の景気についても「悪化の兆しが出ている」との回答が約3割に達し、全国で最も高かった。
不安要因を複数回答で聞いたところ、円高(91.1%)とした回答が圧倒的だった。近畿は電機や素材など輸出企業の比重が大きい。ダイキン工業の井上礼之会長は「為替変動は一企業での対応の限界を超えている」という。産業界からは新興国の経済成長について「少しトーンダウンするだろう」(パナソニックの大坪文雄社長)と警戒する声も出ている。
41.1%は不安要因に「電力不足」を挙げた。近畿圏に電力を供給する関西電力は原子力発電所への依存度が高く、今冬にも産業界に節電要請を検討している。夏以上の電力不足も懸念されるため、エコノミストには「生産活動への影響が出てくる可能性もある」(三菱東京UFJ銀行の鈴木直人上席調査役)との指摘があった。
今回の調査では近畿圏の先行きの設備投資が「やや旺盛になる」という見方は15.1%にとどまっており、円高や電力不足から投資に慎重になっている様子がうかがえる。
2011年10月12日 日本経済新聞
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